昨夜のFNS歌謡祭における歌声と先日配信された「BOKUNOUTA」での歌声との間には大きな乖離があった。

即ち、昨夜の歌声は非常にいい状態であったのに対し、「BOKUNOUTA」では良くない状態の声だったということになる。

これは彼の場合、素人が聞いてもわかるぐらいの状態の差がそのまま歌声に反映される。

この歌声の状態が安定しないというのは、彼の以前からの課題であると私は感じる。

 

ジェジュンは東方神起時代の歌声も安定していない。

それはCDを聴くと非常に良くわかる。

その時の声帯のコンディションや身体のコンディションがそのまま歌声に反映されている。

例えば、鼻声だったり、詰まった響きになっていたり、スカスカの響きだったり、息漏れしていたり、非常にハスキーだと思えば、艶やかな声だったり、と、安定さを欠く。

だが、5人で歌っている限り、一人のパートは短い。

それゆえにコンディションの幅は、それほど気にならない。

 

しかしこれがソロで歌うとなれば話は全く別になる。

グループ歌手からソロ歌手になるというのは、よくある話だが、グループを脱退して、ソロ歌手として成立する人は、ほんの僅かだ。多くの場合は、グループ歌手だった頃の輝きを失う。

最近でのいい例の1つに「いきものがかり」の吉岡聖恵の例がある。

彼女は「いきものがかり」のメインボーカルをずっと担って来た。

彼女の場合は、ほぼソロに近い形で歌ってきている。

しかし、「いきものがかり」の活動を休止して、彼女がソロ歌手として活動をしていた期間、彼女はソロ歌手としての存在感を示せたかと言えば、私は非常に懐疑的だと思う。

彼女の場合、いきものがかりでもソロで歌っていたのだから、そのままバックに他のメンバーがいないだけ、という状況であるにも関わらず、彼女の歌声は精彩を欠いた。

即ち、彼女は「いきものがかり」というサウンドの中でのメインボーカルとしての存在感はあったが、「いきものがかり」のサウンドを離れて、一人の歌手吉岡聖恵としての歌声では、多くの聴衆を魅了することが出来なかった、ということになる。

これと全く同じことが、グループ歌手から独立した場合に起こりやすい。

即ち、グループ歌手でのメインボーカルを担っている場合、その歌声が魅力的だと感じるのは、そのグループのサウンドの中での歌声だからであって、そのサウンドを離れ、一人の歌手としての歌声として魅力的かどうかは、全く別次元の話になるからである。

 

ジェジュンの場合、過去の歌声、即ち、東方神起時代の歌声に固執する人は非常に多い、

彼がソロ歌手として本格的に日本で活動を始めたとき、私もそういう考えに捉われた。

以前の透明的で伸びのある、少しハスキー気味な歌声で聴いていたソロ曲の歌声との違いの原因を探ろうと思った。

確かに発声ポジションで不味いと思われる時期はあった。

しかし、今年の2月以降、発声に関しては彼は非常に改善されている。

そうなると歌声として、以前のような響きが戻るのかと思えば、そうではなかった。

現在の歌声の中に、以前の特徴であった、ハスキーな音質、というものは全く見られない。

これは、韓国語を歌う歌声も同様である。

即ち、現在の彼の歌声には、以前のような響きが抜けたハスキーさや、息漏れというものは全く存在しないのだ。

その代わりに現われているのが、全体的な濃い色彩の歌声である。

しかし、この声は、新しく彼の歌声を知る人たちにとっては、非常に有効で魅力的な声だと感じる。

昨日のようにいい状態での歌声は、非常に美声だ。

この美声という特徴が、ジェジュンという歌手の1番の持ち味であり、他の歌手と比べたときに、同じような歌声の歌手が見当たらない、ということになる。

 

彼の歌声が美声なのは、ビブラートの存在にある。

全体的に上質のビブラートを持っているからであって、歌手の多くがストレートボイスであるのに対し、非常に特徴的である。

ビブラートを持つ場合、その声をブランディングしやすいという特性を持つ。

即ち、ビブラートを消してストレートボイスにしたり、響きの芯だけを集めて細い歌声を作ったり、逆にブレスを大量に混ぜることで、ハスキーな太めの声を作ったり、とカスタマイズしやすいのである。

これが逆にストレートボイスの歌声の持ち主なら、これほど多くの色彩を持つことは不可能である。

 

彼が一部のファンから七色の歌声とかヒーリングボイスと呼ばれる由縁は、この歌声の多種多様性になる。

そして、この多種多様性の根底にあるのが、今の響きの歌声であり、ソロ歌手としてのオリジナル性という観点から考えた場合、非常に有利な持ち味となるのである。

 

彼の課題は、如何にこの歌声をいつもベストコンディションに保つかということだけである。

現在、いい状態なのは、コロナの影響で、ほぼ仕事が詰んでいないからである。

これが状況が元のようになれば、過密スケジュールの中で、どれだけ自分の本業である歌手としてのコンディションを保てるかは、彼の自覚とスタッフの認識にかかっている。

 

ソロ歌手としての活動はまだまだ始まったばかりである。

彼がその美声を自分のセールスポイントとして多くの一般人に認知されるようになる為には、しっかりとしたコンディション作りの上で、数少ない音楽番組の本番をきちんと熟す、ということが必要になる。

安定した歌声は、彼の今後も続く課題の1つと考える。

コロナの状況が改善されたあと、彼がどれだけ歌声を保っていけるか、非常に興味深い。

そこが彼のソロ歌手としての存在感を示せるかどうかの生命線になる。