大統領府で開催された「アリラン大会」に彼が招待された。
彼の歌う姿、そして一緒に出演した歌手たちとのショットに「落ち込んだ」と何人もから聞いた。
「アリラン大会」に出演した歌手たちは、彼以外、皆「反日主義」で有名な歌手ばかりだった。

今回の招待が、一体どういう経緯で来たものなのか、彼個人を最初から招待したものだったのか、そうでなかったのか…私には、わからない。
ただ、韓国人歌手として、名誉ある場所だったのだろうか…

JYJになって、東方神起時代と一番違うことは、政府関係の仕事がその中心にあるということだ。
Cjesに移って、一番最初の公的仕事は、「ソウルG20首脳会議」のリレーインタビューだった。
その後、彼は、いくつの広報大使をこなしたのだろう。
JYJとして、実質活動をしないようになってからでも、広報大使の仕事だけは次々と舞い込む。
それは、韓国政府にとっての世界的戦略の象徴として便利な顔なのだろうか。
大統領の前で演奏する機会も何度も訪れた。前大統領イ・ミョンバク氏の前や、政府高官の前での演奏も機会を持った。
来年開かれる「仁川アジア大会」の広報大使活動と今回の「アリラン大会」への単独出演。
彼が、逃れられないのは、韓国という国のナショナリズムだ。

政府は、国民にどこまでもナショナリズムを求めてくる。
政策の一環であるKPOPの歌手にも、それは当然強く求められる。

かつて東方神起は、反日活動などの政治的活動に一切関わらなかった。
それは、日本活動をSMが重視していたせいだっただろう。
竹島・独島問題以降、急速に悪化している日韓関係の中で、こういう問題にいくら政府の主導とはいえ、立場を明らかにすることは、非常に危険な選択といえる。
彼がツーショットを取り、自らインスタに上げた歌手キム・ジャンフンは、竹島まで水泳リレーをした歌手の一人であり、「反日活動家」として有名な歌手である。
その歌手とのツーショット写真を上げたことに多くの日本人ファンが落ち込んだ、と聞かされた。
彼は、キム・ジャンフンが反日活動家とは知らなかったのだろうか… まさか、そんなことはないだろう。
しかし、彼の表情を見ると、笑顔はほとんど見られない。
彼ほど、感情が顔に現れる歌手も珍しい。
ツーショットの写真もこの場所で歌うことも私には、彼が自ら望んで選んだようには見えなかった。

そして、さらに日本ファンを落ち込ませたのが、この映像。
http://www.youtube.com/watch?v=OkquCJmKKWw

1. アリラン アリラン アラリヨ
アリラン峠を越えて行く
私を捨てて行かれる方は、
十里も行けずに足が痛む。

2. アリラン アリラン アラリヨ
アリラン峠を越えて行く
晴れ晴れとした空には星も多く、
我々の胸には夢も多い。
3. アリラン アリラン アラリヨ
アリラン峠を越えて行く
あそこ、あの山が白頭山(満州民族・朝鮮民族の霊峰)だが、
冬至師走でも花ばかり咲く。

『アリラン』(朝鮮語:아리랑)は、キキョウを掘る娘を歌った『トラジ』とともに、朝鮮民謡として朝鮮半島内外で最も有名なものの一つ。明るいメロディーのトラジと哀調を帯びたアリランは朝鮮民謡の代表作と言える。そのメロディーと特に一番の歌詞は民族感情のひとつであるハン(한;恨)の感情を表すともされる。

韓国の文化体育観光部はアリランを「韓国の100のシンボル」と定めている。
「アリラン」は、有名な曲だ。
朝鮮民族でなくても、そのメロディーを口ずさむことが出来る人は多い。
もちろん、民族教育の行き届いた韓国では、どんな小さい子供でも歌うことが出来る歌のひとつだろう。
その歌を彼が歌った。

その時、歌い始める前のトークがこれ。
いつも翻訳をお願いしてるayumiさんに忠実に彼のことばを翻訳してもらった。

0:10 ふう…
0:16
(不明)0:20 こんにちは キムジェジュンです 0:24 ずいぶん肌寒いですね 0:28 ずっと鼻水が出ます 0:33 今日このような意義深い場にお呼びいただいて 0:38 非常に光栄で いい気持ちです 0:44 たくさんの出演者の方々が 0:47 さまざまな「アリラン」を歌われましたね 0:52 僕も「アリラン」を素敵に編曲してきました 1:01 それではさっそく「アリラン」聴いてください

彼が語ったように、このような場所に呼ばれる事は、韓国の歌手として名誉なことだという認識なのだろう。彼は韓国人なのだ。
しかし、彼のアリランは、実は上手くない。
アリランは、「恨」の感情を現す歌だ。
彼の優しい心根とは、正反対の所にある激しい内面の感情だ。
結局、彼が歌うアリランは、ロック的と誰かが評価していたが、私には、そうは聞こえなかった。何を歌っても、やっぱり彼の優しい音色に染まってしまうのだ。

この日のステージに彼の笑顔を見ることはほとんど出来なかった。
反日主義の人達と同じステージに並ばされ、彼は内心どんな気分だったのだろう。彼をこの場に招聘した思惑は、彼が日本に好意的であるということを知った上でのことだったのだろうか。
もしそうなら、彼にこの場で韓国人歌手としての立場を認識させるには、好都合の企画だったのかもしれない。
間違いなく、彼は、心を痛めていたはずなのだろうから。

彼のこの日の唯一のホンネは、Twitterの「お疲れ~JJ」だった。

この短い呟きに彼の本当の気持ちが現れている。
何もかもに対して、ひっくるめての「お疲れ」という言葉を自分に向けて呟いたのは、初めてではなかっただろうか…

韓国の芸能人、特にKPOP歌手達にとって、韓国政府関係からの反日活動の強制は、苦痛を伴うものだと感じた記事があった。
それは、先日も韓国・慶尚北道が独島領有権強化の促進のために ‘独島ソング “を作ったが
、打診された韓国アイドル歌手や所属事務所全員が「歌えば日本で嫌韓が進んで稼げなくなり、失業・破産する」と言って断ったというニュースがソウル新聞に報道されている。

http://www.wikitree.co.kr/main/news_view.php?id=142666

韓国や、中国で反日教育を受け、日本へ働きに来る若者や、アニメ、ゲームなどの文化を通して日本と交流する若者は、一応に実際の日本社会や日本人に接して、皆、戸惑うと聞く。

自分達が受けてきた反日教育の中での日本や日本人の印象と実際の姿が余りにも違うからだ。
彼も「日本へ来て、スタッフがみんなとても優しかった」と言っている。

「日本に来て、こんなに韓国の事を好きな日本人が多いとは知らなかった」と日本企業で働く韓国人が驚いたとも聞いた。日本人の感情は、そんなに変わっていない人が多いのに、韓国人の感情が酷く悪い、とも聞いたことがある。
韓国でも日本に好意的な人はたくさんいる。現に私の知っているソウル市立大の男子学生は、来春から日本企業で働くことが決まって喜んでいる。彼は、小学校6年の時に父親から与えられた日本のゲームに嵌り、独学で日本語を勉強した。彼の日本に対する理解の深さや感情は、兵役を経験した後も何も変わらず、昨年、半年、念願の日本留学を果たした。
そんな感情を持つ韓国の若者はたくさんいる。一番の問題は、その感情を自国で表現することを許されない風潮があることだ。
日本へ来て、自由に表現出来る空気を感じ取った若者は、日本の自由さを好む。
そして、自国のナショナリズムとの間で葛藤し、折り合いをつけていく。
そんな体験は、KPOPの歌手にも多いだろうし、何よりジェジュンが、日本に対する感情を抱くようになったのは、実際の日本人とのつきあいの中だったに違いない。

日本活動が始まるかどうか、ソロコンサートを控え、Cjesは、彼に何をさせたかったのだろう。
ソロアルバムの発売を控えて、ただ、単に歌える場所、露出出来る場所ならいいと思ったのだろうか。
政府関係の仕事の依頼は、最優先するというCjesの考えは、当然そのまま政府の考えである「反日」へ結びつく。
もし、「独島ソング」の依頼がJYJに来たなら、Cjesは断っていたのだろうか。

彼がCjesにいる限り、彼は、これからも政治的思惑に巻き込まれる環境にあると言えるだろう。
その局面に立って、彼が必死に歯を食いしばって自分の立場を守ろうとしているのが見える。
Cjesに入った時から、彼には、見えない大きな思惑を背負わされ続けている。
そんな感じがした。

 

追記
彼がインスタに上げたツーショットの写真は、誰が撮ったものなのでしょうか。彼は、自分の携帯を持っていますね。肩を組まれて、先輩との写真をインスタにあげないわけにはいかなかったでしょう。
芸能界の繋がりの中で、東方神起を離脱して、一人で背負い、判断していかなければならない局面が増えていくでしょう。
そんな彼が、これ以上、傷つかないのを祈るばかりです。


耒仁子さま

追記に写真のことが書いてあるので、とりあえず該当の画像を掲載しています。赤文字部分削除してください。(うさこ)