5月の「HERO」の発売。
6月のトレジャーブックの発売。
二ヶ月続きの写真集の発売は、普通では考えられない。
トレジャーブックの発売が二ヶ月遅れ、その間に「HERO」の発売をぶち込んできたことに何の意味もないと言ったら嘘になるだろう。
この2つの写真集が同時期に発売された意図を考えてみる。

「HERO」の写真集は、アルバムの前に発売予定だったのだと感じた。
メイキングの最後に収められた「NO.X」の歌声は、それらの曲のデモテープに違いない。
デモテープの音楽をBGMに流すことで、彼は、次のアルバム曲を暗に示唆したかったのだと思う。
デモテープは、模範となる歌が入った完成された形で渡される時もあるし、音楽だけの場合もある。
メロディーラインは、楽器によって演奏されている。また、ピアノだけでメロディーと伴奏が録音されている場合もある。

物議を呼んでいる「Life support」と「会うけど…また会えるけど… 」に関しては、それぞれ英語の原曲と、日本語原曲と思われる。
おそらく「Life support」に関しては、英語を韓国語に彼が翻訳し、「会うけど…また会えるけど…」に関しては、もともと日本語で歌詞を作り、韓国語に翻訳したものと考える。

「HERO」の発売に関しては、入隊一年目後半。
年が明けて、アルバム発売とホログラムコンを行う。
彼の中には、そういう青写真が出来ていたのではないか。

それが、ホログラムコンとアルバムの発売は時期が逆転し、巧妙にずらされ、写真集に至っては、未発売だった。

そうやって、Cjesは、彼のファンへの気持ちを踏みにじった。
彼がファンの寂しさを思い、寝る時間も削って、自分の姿を切り取るかのように残した写真の数々。
その彼の気持ちを、平気で踏みにじっておいて、除隊後、慌てて集金計画を立てた。
なぜなら、トレジャーブックの契約を彼がしたのを知ったからだ。

韓国人として初めてのトレジャーブック。
その契約を彼が個人的に結んだことによって、除隊後、所属事務所としてアピールしてきたcjesの面目は潰された。

事務所として、何の関与もなく、知らされてもいなかったという事実は、cjesに慌てて、写真集を発売させるだけの立派な理由になっただろう。
そうやって、彼の写真集は、陽の目を見たのだと言える。

「直接、彼に交渉した」「cjesは全く関与していない」との回答から、かつて彼が個人的に発売した「10周年記念切手」のような期待感がファンの中には広がったかもしれない。
彼の私物のレプリカが封入されるのも魅力だった。そのため、高額にも関わらず、予約した人は多かった。

当初、cjesの関与は全くなかったと思われる。
しかし、日にちが経つにつれて、様相が変わってくる。
トレジャーブックの宣伝が公式のLINEやインスタに上がり、明らかに事務所の関与を感じるようになった。
また、それに呼応するかのように発売日は二転三転する。

トレジャーブックが届いて、読み進めると、各章に添えられた文章に違和感はなかった。

私は、写真集は、基本的に一度観るだけだ。
彼の外観にそれほどの執着を持たない私は、それよりも、彼の軍隊時代や考え方などの内容に興味があった。

各説明文は、彼個人のアーティストとしてのクオリティー、彼個人に関する記述ばかりで、彼がこの本のために書いた詩も掲載されていた。

ここまでなら、彼が公開するとコンサートで話した赤ん坊の頃の写真。これが付いていなかった点を除けば、何の違和感も持たなかっただろう。

しかし、私はそのあとのhistory部分を読む気がしなかった。

韓国在住の日本人作家が書き下ろす、と予告された彼の自叙伝ともいうべきhistoryは、単なる記録記事の羅列でしかなかった。

私は途中で放り出したぐらいだ。

稚拙な文章は、とても作家が書き下ろしたものとは思えなかった。

この記事を書くために、再度読み直したが、東方神起分裂からJYJ活動の記述においては、明確な意思を持って、ある方向へと誘導する作為的文章の構築を感じた。

多くの人が検証するように、彼のソロ活動に関する記述は、一切ないに等しい。

それは、日本活動において、特に顕著で、日本におけるソロ歌手活動は、作為を持って排除され、JYJ活動のみが記述されている。

特に2013年6月の横浜アリーナに関しては、一言も触れられていない。

横浜アリーナ公演は、彼の日本におけるソロ活動の始まりともいうべき公演で、彼がこの公演後から、ソロ歌手活動へと大きく舵を切っていく、人生のターニングポイントともいうべき大事な公演である。
その公演と、3万人のスタンドを2日間満杯にした横浜スタジアムのコンサートに関しても、ほんの一言、JYJ活動の繋ぎのような記述でしかなかった。

また、アルバムに関しても、その存在すらなかったかのように、JYJのアルバムだけの記述になっている。

これは、明らかな意図を強く感じるものでしかない。

トレジャーブックは、発売日が延期され、その間に撮影された画像があることは明らかなのに、2月の日本を含むアジアツアーの予告すら記述されていない。

このhistoryは、完全に彼のグループ活動と韓国での活動に特化されたものと言えた。

明らかな意図。

明確な意思。

この2つによって、トレジャーブックは、非常にクオリティーの低い、偏ったものになったと言えるだろう。

トレジャーブックの発行人は、田中千鶴子。
この名前を巻末に見つけた時、私の中で作為がどのような思惑によって為されたのかを如実に感じた。

なぜなら、この発行人の名前に記憶があったからだ。

私は、彼女の本を過去に3冊読んでいる。
(「韓流ですが何か」は現物を見つける事が出来なかったが確かに読んだ)

2010年は、東方神起の活動が休止され、解散商法とも言えるものが多数発売された年でもある。

解散は当初から決定的でありながら、事務所の思惑や周囲の人間の思惑によって、ファンの活動再開の期待感をうまく利用された年でもあった。

その頃、私はファンになりたてで、発売されるものを、全て購入していた。

ファンとしの知識の遅れを何とか取り戻そうと躍起になって、情報を漁り、関連書と思えるものは、全て読み漁った。

自分なりに状況を把握したかったからだ。
その中で彼女の本も購入し、読んだ。

その時の印象は、一言でいえば、グループファン以外の何者でもなく、東方神起というグループに非常な執着を持っているという印象だった。

彼女は、当時、韓流ファンの走りともいうべき人間で、東方神起の日本デビュー当時からのファンでもあった。

出版業界にいたポジションを利用して、韓流雑誌をいち早く立ち上げ、2万人の登録を持つ最大の韓流ブログの管理人でもあった。

韓流ブームを作り上げてきた中の一人と言えるかもしれない。

そのポジションの中で、当然、東方神起の各メンバーと個人的な関わり合いを持ち、彼らの情報や近況を手中に収め、それらを基にして、休止後のそれぞれの活動に期待感を込めるような内容の本や、韓流ファンとしての日常生活を書いたものを出版していた。

彼女の名前は、東方神起のメンバーが日本の母親のような存在として懇意にしている、との記述から、印象に残っていた。

その名前に、6年ぶりに出会うとは思わなかった。

そして、その名前を見た時、トレジャーブックの依頼がどのルートからのものだったのか、はっきりわかったのだ。

純粋に日本の会社からの依頼だとばかり思っていたのは、大きな錯覚だった。
やはり、韓流関係だったのかとわかり、正直、失望した。

さらに内容を読み、明らかに、東方神起時代の遺産と、東方神起、JYJという2つのグループによる活動の期待感によって、韓流ブームの再来を画策する意図が見えて仕方がなかった。

彼女の経歴からすれば、確実に韓国側事務所の思惑を汲み取らないはずはなく、今後の関わり合いや仕事の面からも、それは明白だと言える。

韓流文化に密着した仕事をしている人間が、事務所の意向に沿わないことはありえない。

彼がどのような経緯から、トレジャーブックの発売を受けたかは明らかではないが、彼が当初、純粋な気持ちで受けたものとは、大きく違ったものになった事だけは確かだと言えるだろう。

彼自身が、入隊中から計画し、準備したというトレジャーブックは、今までの半生を記録し、ファンに自分のプライベートを特別にプレゼントしたい、という彼の純粋な気持ちを見事に裏切った。

そうでなければ、2月のツアーで、あれ程、嬉しそうに語り、ソロステージに対して、「この場所だけは手放したくない。死ぬまで歌いたい」「ソロステージは、自由」と話し、グループ活動にもメンバーの名前にも一言も触れなかった彼の意思が反映されていないのは、不自然だからだ。

ソロ活動が削除されたhistoryは、彼の半生を何も伝えていない。

彼が何故、これほどに苦しみ、耐えながらも、歌を手放さないのか。

歌う場所を奪われても、ソロステージに拘るのか。

何一つ伝えていないhistoryは、グループ歌手として作り上げられた偽りのものとも言える。

それほどにグループ活動させ、グループ歌手でいさせたいなら、彼にもファンにも、ソロステージよりもグループ活動の方が魅力的だと、かつて感じさせたように、関係者は、用意すればいい。
それもせず、作為を持って改ざんされたhistoryには、悪意すら感じる。

彼がファンの事を思い、ファンへの愛の形として残そうとしたもの。彼がチョイスしたレプリカの数々。

それらから伝わる彼の温かい気持ちと、historyに書かれた内容は、大きくかけ離れている。

彼の半生がねじ曲げられ、彼の気持ちが踏みにじられた事に対して、私は猛烈な怒りを覚えるのだ。

トレジャーブックのhistoryを、私は二度と読まないだろう。

真実を伝えない文章は、読む価値もない。何も読者に伝わらない。

彼の苦しみも悲しみの欠片も伝わらなかった。

非常に不愉快だった。

 

ソロ活動部分の記載が殆どないことについて、トレジャーブックに質問を送りました。
回答が来れば、皆さんに公開します。

なかなか長時間の連続作業ができず、この記事も遅くなりました事をお詫びします。