ジェジュン
ジェジュンが本部隊に配属されて、めっきり情報が出なくなった。めっきり情報がなくなり、多くのファンがジェジュンロス症候群になっていると聞かされた。
何となく毎日がつまらなく、何となく元気が出ず、情報を追いかけても過去のものばかり。過去の彼の画像や映像に触れ、彼の歌声を聴くといつのまにか涙が出ている、というもの。
毎日、あれほど彼の情報を追いかけていたのに、今は情報ブログにも殆ど、情報が出ず、ブログの更新自体を辞めているオンリーブログも多いと聞いた。
「どこへ行っても、彼に会えない」
そんな虚無感や空虚な気持ちになるというもの。

彼は軍隊にいる。それも本部隊だ。
本部隊に配属されて、ここからが本当の訓練になる。新兵訓練期間は、予備期間のようなもの。本訓練を受ける為の予備訓練だった。

面会日ごとに画像が上がる状態が異常なのであって、本来、軍隊という場所は、いつ何をしているのかを知られてはいけない場所のはずである。
誰がどこで何をしているのかを知られる事は、それ以外の情報も漏れる可能性があるという事になる。
そういう情報が画像と共に上がる事によって、彼の立場に悪影響を及ぼさないか心配する。

韓国の青年に軍隊での経験を聞いてみるといい。
積極的に話す人は少ない。自分の価値観も自分という存在も、全てを無にして二年を過ごさなければ、到底軍隊で過ごすことは出来ない。
軍役の二年間は、自分の人生の針は停ったままなのだ。
そう思わなければ、到底やり過ごす事の出来ない二年間でもある。だから、その間の経験を積極的に語る人は皆無だ。
それが、軍隊という場所が、軍役という期間がどういうものなのかを物語っている。

MERSを始めとする韓国政府の危機管理能力は、とても先進国とは比べ物にならないほど、お粗末である。
そういう国に生まれ育ち、今、軍隊にいる彼のファンとして、長い空白期間をどのように過ごしていけばいいのだろうと思うとき、いつも私は、彼の歌だけを思い出すようにしている。

この5年間、いつも彼は日本にいなかった。
いつも彼は遠く離れた場所にいた。

私のファン生活に、いつも彼はいなかったのである。
そういう彼の存在に慣れてしまったのかもしれない。

「ボスを守れ」のドラマに出演し、ソロ活動を始めるまでは、JYJのコンサートが終わってからは、何の情報も音沙汰もなかった時期がある。
何をしているのか、全くイベントにも出演せず、人前から姿を消した時期があった。たまに化粧品のポスターや洋服のモデルとしての消息を知るだけで、それ以外の活動が何もない時期もあった。歌手としての活動が皆無の時期は、実に3年にも及ぶ。

5人の頃からファンになったのではない私には、いつも彼は日本におらず、そばにいないのだ。
日本にいないこと、日本活動をしていないことが当たり前のファン生活だった。

その頃と、今、彼の情報が全く上がらず、そばにいない状況と、何が違うかと言われてもさほど変わらない。
ネットで情報を追いかけ回さないファンにとって、彼はいつも遠いところにいる存在だった。

そんな状況を埋める唯一の方法は、彼の歌を聴くこと。

彼の歌を聞き、彼が歌手であるという事を再確認すること。
彼が歌手活動をしていなかった空白の3年は、歌わせてもらえない状況(後にそれが彼だけに起きているとわかるが)の中で、歌を歌える状況になることをただ待ち続けている期間でもあった。
いつ歌えるかわからない。彼自身が歌をやめてしまうかもしれない、歌手をやめてしまうかもしれない、という漠然とした不安感と戦い続けた3年でもある。
彼が歌うことを望んでいるにも関わらず、歌わせて貰えないという事がわかるまで、彼自身の気持ちすらわからない不安の中で、彼の5人時代の歌を聴くしかなかった頃に比べれば、今、彼がいなくても、彼が決して歌を辞めないという意思もわかっていれば、彼が戻ってくるのを待ちさえすれば、必ず彼の歌声に会えるのだという確信の中で、彼がいないのとでは、まるきり状況が異なるのだと感じている。

確実に彼の歌声を再び聴ける日は、近づいているのであって、ゴールの見えない暗闇ではない。
日一日と確実に再び彼に会える日は近づいている。

そんな中で待つのは、そんなに難しい事でもない。

過去記事がなくなったときに、「初めてのreview記事だけは、プリントアウトして持っています」と言ってくださった方が何人もいて、とても嬉しかった。
「この記事がkukoさんとの出会いでした」と言われた。、

5年前、日本活動が打ち切られて、ブログを書き始めて間もなくの頃に、韓国ファンサイトが募集したreviewコンテストに応募した。
このコンテストは、ジェジュンの歌についてのreviewを海外ファンを対象に募集していた。
高麗大学でのshowcaseから帰国した当日の夜、reviewを書き上げ、締切り間際にギリギリで応募したのを覚えている。

当選作第1作に選ばれたあと、その後、中国のBaiduのサイトでのコンテストに応募すると連絡があった。最終的にそのコンテストでも優秀作品に選ばれたと聞かされた。

海を越え、言葉の壁を越えて、自分の書いた作品が一人歩きしている、と思った。
文章の力をまざまざと感じたのを覚えている。

そのreviewをもう一度掲載し、彼の歌声に惹かれた原点を見つめ直そうと思う。

reviewを好いて下さる人が多いということも、今回、ブログがハッキングされて、過去データが消失したあとに多くの方から教えられた。

彼からは、たくさんの物を貰った。
5年間、それは、いつも私の心の中にあって、大切なものでもある。

私がファンとして出来ることは、reviewを書くことぐらいしかない。
reviewを書き始めた時、本当に音楽をやっていて良かったと思えた。

このreviewは、自分自身を見つめ直すきっかけにもなった作品だった。
ファンとしての原点を忘れない為にも、もう一度、ここに掲載し、記録として残したいと思う。

Dear Jaejoong

あなたのペンサイト、worldclassjjであなたのVocalについての原稿を募集していました。
私は、あなたに手紙を書くことにします。
 
私が、あなたの歌に初めて出会ったのは、去年の7月でした。
毎晩毎晩、娘から、あなたたちの歌を聞かされていました。眠い目をこすりながら(笑)
その中で、1人の声だけが、私の記憶の中に残りました。
誰が歌っているのかわからないのに、その人の声だけは、私の心に響いて、私を離さないのです。
年が明けて、私の車の中では、再び、あなたたちの歌が鳴り響いていました。
その時私は、あの…、私の心を捉えて離さなかった歌声に、再会しました。
それが、あなたとの出会いです。

あなたの声は、とても不思議ですね。
私は、長年、歌に関する仕事をしてきました。
ですから、あなたの歌声を聴けば、そのときのあなたの声の状況は、手に取るようにわかります。風邪気味だったのか、寝不足だったのか…etc.
でもあなたは、どんな状況でもそのたぐい稀な発声で歌い上げてきました。
あなたは、きっと人には言えないくらいの努力をして、その伸びやかな発声を身につけてきたのですね。

あなたの歌の特徴は、どの音域にも対応できるしっかりとした、基礎発声にあります。
あなたの声の素晴らしいところは、高い音域では、少しハスキー気味に、そして、中音域から低音域にかけては、甘く、ミルクのような濃厚な響きを奏でるところです。
中音域の声だけを聴いていると、高音域のハスキー気味な発声で歌う人物とは、別の人物が歌っているような錯覚に捉われます。
また、低音域では、どんなに低く、歌いにくいメロディーであっても、かき消されることなく、しっかりとした響きで存在しています。

私は、たくさんのいろんなジャンルの歌手の声を聞いてきました。
けれども、今まで出会った中に、あなたのような発声をする歌手を知りません。
どんなに、伸びやかな発声をしている歌手でも、どこか必ず、苦手とする音域を持っています。
特に、声に自信のある歌手で絶唱型と呼ばれるタイプは、コンサートなど何時間も歌い続けると、必ずその人の発声の弱点が出るものです。
けれども、あなたはどんなに歌い続けても、どの音域にも不安を感じたことはありません。
ほとんどの歌手は、ある音域になれば、必ず喉が詰まったような発声になり聴き手も「これ以上高い音域は、無理だな。」と感じます。
ところが、あなたの場合、それを感じたことがありません。
あなたにとって、高い音域は、どこまでもどこまでも広がっているように感じられるほど、どんなに高い音域でもまるで中音域を歌っているかのように伸びていくのです。
そして、あなたの最大の魅力は、ミルクのような濃厚さとビロードのような艶やかさを持つ中音域にあると思います。
多分、あなたは、あなたが持つ音域すべてを歌声として使うことができるテクニックを持っているのですね。
どんなに困難なメロディー展開をしても簡単に歌ってしまう裏側で、あなたがそれを身につけるためにどれだけの時間と努力を費やしてきたのかを想像するとき…
私は、歌の世界に身を置く1人として、只々頭が下がるだけです。
高音域と中音域とを、しっかりとしたテクニックでコントロールするからこそ、あなたの歌は私たちの心を掴んで離さないのだと思います。

あなたは、韓国でデビューしました。
当然母国語である韓国の歌は、あなたの表現力を最大に発揮します。
「MIROTIC」に入っている「Forgotten Season」は、あなたの得意とするバラード曲で、20年前のリメイクを感じさせないほど新鮮な響きを奏でています。
けれども、私は、あなたが最も成長したのは日本語による楽曲だったと思います。
日本語は、韓国語と違い子音で終わる単語を持ちません。
すべての言葉が、母音で終わります。
外国人が日本語を習得するとき、母音で終わる発音に、てこずることが多いです。
また日本語は、歌に最も向かない言語の1つだと言われています。
歌詞をつけるとき、1つの音符に1つの言葉ではなく、1つの文字がつくからです。
そのため、テンポの遅いバラード曲などは、ことばがバラバラになるため、日本人でも何を歌っているのか、わかりにくいことがあります。
でも、あなたは、これらの困難を見事にクリアーして歌手として進化しました。
あなた自身が言うように日本語の歌を歌うとき、声のポジションが前に出ますね。
ポジションを前に取ることで、あいまいな日本語がはっきりとした発音になります。
そして、そのことによって、あなたは高音域に新しい音色を身につけました。
「細く繊細で、美しい音色」を持った高音域です。かつてのハスキーな高音域とは全く別の音色を身につけました。

「いつだって君に」に使われる音色と「Maze」に使われている音色は、あきらかに別のものです。
歌手が、その言語によって自分の発声ポジションを変えることほど困難なことはありません。
発声ポジションを変えることは、常に喉を傷めるかもしれない危険性をはらんでいます。
その事ができるのは、しっかりとした基礎発声が身についている歌手だけに許されていることなのです。
それを、あなたは見事にクリアし、さらに今英語の歌に挑んでいます。
きっとこれから、あなたは、もう1つの言語を習得すると同時に新しい発声ポジションを身につけていくのでしょう。

またあなたは、韓国語でも日本語でも、ことばの意味によって声の音色を変える繊細な言語センスを発揮しています。
その能力によってあなたの歌は、ロックからバラードまであらゆるジャンルの歌を表現することができるのだと思います。

あなたの歌声に再会した時、私は1人の母親としてどん底にいました。
大学受験に失敗し浪人生活を送っている息子とは、もう何年も前から上手くいっていませんでした。それは、どこの母親でも持つ息子への大きな期待が彼を苦しめていたのです。
毎日が、ぴんと張りつめていて…重苦しい気分に包まれていました。

自分が、息子を追い詰めていたのだと気づいたとき、私は、母親としても人間としても生きる自信を失っていました。
私にとって歌の仕事をしているときだけが心の支えでした。
そんなとき、あなたの歌に再会したのです。

長年、歌の仕事をしてきて、沢山の方から「音楽で心が癒されました」と聞いても自分の体験の中にそれはありませんでした。なぜなら、私にとって歌は仕事だったからです。
でもあなたの歌に出会って、私は初めて「人は、音楽で心が癒される」ということを体験しました。

あなたの歌声を聴いて、涙が出ました。
あなたの声は、優しかった。
あなたの歌をむさぼるように聞きました。
あなたの声が聞こえることが私の支えでした。
それは、今も変わりません。
私は、あなたの歌によって生き返りました。

今、私は、あなたに「もっと自信を持って!」と言いたいです。
あなたは本当にやさしい。その優しさが、歌にあふれていて私たちの心を打ちます。
いつも私たちの心に、いつのまにか、そっと寄り添って一緒に歩いてくれるのです。
でも、時にはその優しさゆえに、自己主張の激しいものにかき消されそうになります。
あなたの歌はしっかり存在しているのに、あなたの優しい遠慮がちな心が歌の存在をかき消しそうになるのです。
誰にも遠慮しないで、もっと自信を持って主張して下さい。

あなたの韓国語の歌
あなたの日本語の歌
そして、これから始まる英語の歌
どの曲を歌ってもあなたの歌の本質は変わりません。
Kim・Jaejoong という1人のアーティストの作り出す世界はあなただけが表現できる世界です。

どうか、覚えていてください。
あなたの歌は、私たちにとってかけがえのないもの…。
あなたの歌によって多くの人が、救われていることを…。
そして、あなたが、あなた自身を愛するより深くあなたのことを愛している人がいることを…。

あなたの声は、宝物。
世界にたった1つしかないかけがえのない宝物です。

どうか、喉を大切にしてくださいね。
あなたが歌う場所に、私は必ずいます。

2010.10.14

本部隊に配属されて、めっきり情報が出なくなった。めっきり情報がなくなり、多くのファンがジェジュンロス症候群になっていると聞かされた。
何となく毎日がつまらなく、何となく元気が出ず、情報を追いかけても過去のものばかり。過去の彼の画像や映像に触れ、彼の歌声を聴くといつのまにか涙が出ている、というもの。
毎日、あれほど彼の情報を追いかけていたのに、今は情報ブログにも殆ど、情報が出ず、ブログの更新自体を辞めているオンリーブログも多いと聞いた。
「どこへ行っても、彼に会えない」
そんな虚無感や空虚な気持ちになるというもの。

彼は軍隊にいる。それも本部隊だ。
本部隊に配属されて、ここからが本当の訓練になる。新兵訓練期間は、予備期間のようなもの。本訓練を受ける為の予備訓練だった。

面会日ごとに画像が上がる状態が異常なのであって、本来、軍隊という場所は、いつ何をしているのかを知られてはいけない場所のはずである。
誰がどこで何をしているのかを知られる事は、それ以外の情報も漏れる可能性があるという事になる。
そういう情報が画像と共に上がる事によって、彼の立場に悪影響を及ぼさないか心配する。

韓国の青年に軍隊での経験を聞いてみるといい。
積極的に話す人は少ない。自分の価値観も自分という存在も、全てを無にして二年を過ごさなければ、到底軍隊で過ごすことは出来ない。
軍役の二年間は、自分の人生の針は停ったままなのだ。
そう思わなければ、到底やり過ごす事の出来ない二年間でもある。だから、その間の経験を積極的に語る人は皆無だ。
それが、軍隊という場所が、軍役という期間がどういうものなのかを物語っている。

MERSを始めとする韓国政府の危機管理能力は、とても先進国とは比べ物にならないほど、お粗末である。
そういう国に生まれ育ち、今、軍隊にいる彼のファンとして、長い空白期間をどのように過ごしていけばいいのだろうと思うとき、いつも私は、彼の歌だけを思い出すようにしている。

この5年間、いつも彼は日本にいなかった。
いつも彼は遠く離れた場所にいた。

私のファン生活に、いつも彼はいなかったのである。
そういう彼の存在に慣れてしまったのかもしれない。

「ボスを守れ」のドラマに出演し、ソロ活動を始めるまでは、JYJのコンサートが終わってからは、何の情報も音沙汰もなかった時期がある。
何をしているのか、全くイベントにも出演せず、人前から姿を消した時期があった。たまに化粧品のポスターや洋服のモデルとしての消息を知るだけで、それ以外の活動が何もない時期もあった。歌手としての活動が皆無の時期は、実に3年にも及ぶ。

5人の頃からファンになったのではない私には、いつも彼は日本におらず、そばにいないのだ。
日本にいないこと、日本活動をしていないことが当たり前のファン生活だった。

その頃と、今、彼の情報が全く上がらず、そばにいない状況と、何が違うかと言われてもさほど変わらない。
ネットで情報を追いかけ回さないファンにとって、彼はいつも遠いところにいる存在だった。

そんな状況を埋める唯一の方法は、彼の歌を聴くこと。

彼の歌を聞き、彼が歌手であるという事を再確認すること。
彼が歌手活動をしていなかった空白の3年は、歌わせてもらえない状況(後にそれが彼だけに起きているとわかるが)の中で、歌を歌える状況になることをただ待ち続けている期間でもあった。
いつ歌えるかわからない。彼自身が歌をやめてしまうかもしれない、歌手をやめてしまうかもしれない、という漠然とした不安感と戦い続けた3年でもある。
彼が歌うことを望んでいるにも関わらず、歌わせて貰えないという事がわかるまで、彼自身の気持ちすらわからない不安の中で、彼の5人時代の歌を聴くしかなかった頃に比べれば、今、彼がいなくても、彼が決して歌を辞めないという意思もわかっていれば、彼が戻ってくるのを待ちさえすれば、必ず彼の歌声に会えるのだという確信の中で、彼がいないのとでは、まるきり状況が異なるのだと感じている。

確実に彼の歌声を再び聴ける日は、近づいているのであって、ゴールの見えない暗闇ではない。
日一日と確実に再び彼に会える日は近づいている。

そんな中で待つのは、そんなに難しい事でもない。

過去記事がなくなったときに、「初めてのreview記事だけは、プリントアウトして持っています」と言ってくださった方が何人もいて、とても嬉しかった。
「この記事がkukoさんとの出会いでした」と言われた。、

5年前、日本活動が打ち切られて、ブログを書き始めて間もなくの頃に、韓国ファンサイトが募集したreviewコンテストに応募した。
このコンテストは、ジェジュンの歌についてのreviewを海外ファンを対象に募集していた。
高麗大学でのshowcaseから帰国した当日の夜、reviewを書き上げ、締切り間際にギリギリで応募したのを覚えている。

当選作第1作に選ばれたあと、その後、中国のBaiduのサイトでのコンテストに応募すると連絡があった。最終的にそのコンテストでも優秀作品に選ばれたと聞かされた。

海を越え、言葉の壁を越えて、自分の書いた作品が一人歩きしている、と思った。
文章の力をまざまざと感じたのを覚えている。

そのreviewをもう一度掲載し、彼の歌声に惹かれた原点を見つめ直そうと思う。

reviewを好いて下さる人が多いということも、今回、ブログがハッキングされて、過去データが消失したあとに多くの方から教えられた。

彼からは、たくさんの物を貰った。
5年間、それは、いつも私の心の中にあって、大切なものでもある。

私がファンとして出来ることは、reviewを書くことぐらいしかない。
reviewを書き始めた時、本当に音楽をやっていて良かったと思えた。

このreviewは、自分自身を見つめ直すきっかけにもなった作品だった。
ファンとしての原点を忘れない為にも、もう一度、ここに掲載し、記録として残したいと思う。

Dear Jaejoong

あなたのペンサイト、worldclassjjであなたのVocalについての原稿を募集していました。
私は、あなたに手紙を書くことにします。

私が、あなたの歌に初めて出会ったのは、去年の7月でした。
毎晩毎晩、娘から、あなたたちの歌を聞かされていました。眠い目をこすりながら(笑)
その中で、1人の声だけが、私の記憶の中に残りました。
誰が歌っているのかわからないのに、その人の声だけは、私の心に響いて、私を離さないのです。
年が明けて、私の車の中では、再び、あなたたちの歌が鳴り響いていました。
その時私は、あの…、私の心を捉えて離さなかった歌声に、再会しました。
それが、あなたとの出会いです。

あなたの声は、とても不思議ですね。
私は、長年、歌に関する仕事をしてきました。
ですから、あなたの歌声を聴けば、そのときのあなたの声の状況は、手に取るようにわかります。風邪気味だったのか、寝不足だったのか…etc.
でもあなたは、どんな状況でもそのたぐい稀な発声で歌い上げてきました。
あなたは、きっと人には言えないくらいの努力をして、その伸びやかな発声を身につけてきたのですね。

あなたの歌の特徴は、どの音域にも対応できるしっかりとした、基礎発声にあります。
あなたの声の素晴らしいところは、高い音域では、少しハスキー気味に、そして、中音域から低音域にかけては、甘く、ミルクのような濃厚な響きを奏でるところです。
中音域の声だけを聴いていると、高音域のハスキー気味な発声で歌う人物とは、別の人物が歌っているような錯覚に捉われます。
また、低音域では、どんなに低く、歌いにくいメロディーであっても、かき消されることなく、しっかりとした響きで存在しています。

私は、たくさんのいろんなジャンルの歌手の声を聞いてきました。
けれども、今まで出会った中に、あなたのような発声をする歌手を知りません。
どんなに、伸びやかな発声をしている歌手でも、どこか必ず、苦手とする音域を持っています。
特に、声に自信のある歌手で絶唱型と呼ばれるタイプは、コンサートなど何時間も歌い続けると、必ずその人の発声の弱点が出るものです。
けれども、あなたはどんなに歌い続けても、どの音域にも不安を感じたことはありません。
ほとんどの歌手は、ある音域になれば、必ず喉が詰まったような発声になり聴き手も「これ以上高い音域は、無理だな。」と感じます。
ところが、あなたの場合、それを感じたことがありません。
あなたにとって、高い音域は、どこまでもどこまでも広がっているように感じられるほど、どんなに高い音域でもまるで中音域を歌っているかのように伸びていくのです。
そして、あなたの最大の魅力は、ミルクのような濃厚さとビロードのような艶やかさを持つ中音域にあると思います。
多分、あなたは、あなたが持つ音域すべてを歌声として使うことができるテクニックを持っているのですね。
どんなに困難なメロディー展開をしても簡単に歌ってしまう裏側で、あなたがそれを身につけるためにどれだけの時間と努力を費やしてきたのかを想像するとき…
私は、歌の世界に身を置く1人として、只々頭が下がるだけです。
高音域と中音域とを、しっかりとしたテクニックでコントロールするからこそ、あなたの歌は私たちの心を掴んで離さないのだと思います。

あなたは、韓国でデビューしました。
当然母国語である韓国の歌は、あなたの表現力を最大に発揮します。
「MIROTIC」に入っている「Forgotten Season」は、あなたの得意とするバラード曲で、20年前のリメイクを感じさせないほど新鮮な響きを奏でています。
けれども、私は、あなたが最も成長したのは日本語による楽曲だったと思います。
日本語は、韓国語と違い子音で終わる単語を持ちません。
すべての言葉が、母音で終わります。
外国人が日本語を習得するとき、母音で終わる発音に、てこずることが多いです。
また日本語は、歌に最も向かない言語の1つだと言われています。
歌詞をつけるとき、1つの音符に1つの言葉ではなく、1つの文字がつくからです。
そのため、テンポの遅いバラード曲などは、ことばがバラバラになるため、日本人でも何を歌っているのか、わかりにくいことがあります。
でも、あなたは、これらの困難を見事にクリアーして歌手として進化しました。
あなた自身が言うように日本語の歌を歌うとき、声のポジションが前に出ますね。
ポジションを前に取ることで、あいまいな日本語がはっきりとした発音になります。
そして、そのことによって、あなたは高音域に新しい音色を身につけました。
「細く繊細で、美しい音色」を持った高音域です。かつてのハスキーな高音域とは全く別の音色を身につけました。

「いつだって君に」に使われる音色と「Maze」に使われている音色は、あきらかに別のものです。
歌手が、その言語によって自分の発声ポジションを変えることほど困難なことはありません。
発声ポジションを変えることは、常に喉を傷めるかもしれない危険性をはらんでいます。
その事ができるのは、しっかりとした基礎発声が身についている歌手だけに許されていることなのです。
それを、あなたは見事にクリアし、さらに今英語の歌に挑んでいます。
きっとこれから、あなたは、もう1つの言語を習得すると同時に新しい発声ポジションを身につけていくのでしょう。

またあなたは、韓国語でも日本語でも、ことばの意味によって声の音色を変える繊細な言語センスを発揮しています。
その能力によってあなたの歌は、ロックからバラードまであらゆるジャンルの歌を表現することができるのだと思います。

あなたの歌声に再会した時、私は1人の母親としてどん底にいました。
大学受験に失敗し浪人生活を送っている息子とは、もう何年も前から上手くいっていませんでした。それは、どこの母親でも持つ息子への大きな期待が彼を苦しめていたのです。
毎日が、ぴんと張りつめていて…重苦しい気分に包まれていました。

自分が、息子を追い詰めていたのだと気づいたとき、私は、母親としても人間としても生きる自信を失っていました。
私にとって歌の仕事をしているときだけが心の支えでした。
そんなとき、あなたの歌に再会したのです。

長年、歌の仕事をしてきて、沢山の方から「音楽で心が癒されました」と聞いても自分の体験の中にそれはありませんでした。なぜなら、私にとって歌は仕事だったからです。
でもあなたの歌に出会って、私は初めて「人は、音楽で心が癒される」ということを体験しました。

あなたの歌声を聴いて、涙が出ました。
あなたの声は、優しかった。
あなたの歌をむさぼるように聞きました。
あなたの声が聞こえることが私の支えでした。
それは、今も変わりません。
私は、あなたの歌によって生き返りました。

今、私は、あなたに「もっと自信を持って!」と言いたいです。
あなたは本当にやさしい。その優しさが、歌にあふれていて私たちの心を打ちます。
いつも私たちの心に、いつのまにか、そっと寄り添って一緒に歩いてくれるのです。
でも、時にはその優しさゆえに、自己主張の激しいものにかき消されそうになります。
あなたの歌はしっかり存在しているのに、あなたの優しい遠慮がちな心が歌の存在をかき消しそうになるのです。
誰にも遠慮しないで、もっと自信を持って主張して下さい。

あなたの韓国語の歌
あなたの日本語の歌
そして、これから始まる英語の歌
どの曲を歌ってもあなたの歌の本質は変わりません。
Kim・Jaejoong という1人のアーティストの作り出す世界はあなただけが表現できる世界です。

どうか、覚えていてください。
あなたの歌は、私たちにとってかけがえのないもの…。
あなたの歌によって多くの人が、救われていることを…。
そして、あなたが、あなた自身を愛するより深くあなたのことを愛している人がいることを…。

あなたの声は、宝物。
世界にたった1つしかないかけがえのない宝物です。

どうか、喉を大切にしてくださいね。
あなたが歌う場所に、私は必ずいます。

2010.10.14