以前から、この人のreviewを書いてみたいと思っていた。

ジョンヒョンは、ジェジュンがとても可愛がっていた後輩だった。彼の葬儀に赴いたジェジュンの泣きじゃくる姿は、目に焼き付いて忘れることはありません。

音楽は、時に真摯に取り組もうとする人間をとことん追い詰めてしまうものです。

この人の歌声は、もう映像や記憶の中にしか存在しません。それでもこうやって、書き記すことで、彼の歌は甦り、多くの人の心に届く。

亡くなった人を忘れ去ることは、その人を二度、亡くしてしまうことに通じると言われています。

思い起こすことで、亡くなった人は、生き続けることが出来るのです。

彼の歌声も、思い起こすことによって、生き返る。

 

ジェジュンは、パク・ヨンハという先輩とジョンヒョンという後輩を亡くしてしまいました。

二人のreviewを書くことで、ジェジュンが大切にしていた人達の事を彼と一緒に覚えていたいと思います。

 

 

 

ジョンヒョンVocal.Review「瞳をとじて」

 

前半部分は、韓国語で歌われ、後半のサビの部分から、日本語で歌われる。

ジョンヒョン、20歳の歌声だ。

この人の遺作のアルバムを全曲聴いたが、そのアルバムでは、バラード曲がなかったために、彼の歌声をここまで丹念に聞き取ることが出来なかった。

この曲を聞く限り、彼の歌声は、非常に甘く艷やかな音色を奏でている。

低音・中音部の歌声は、ブレス音が多用されたソフトな響きだ。

サビの部分へと向かう高音部も、響きがそれほど変わりない。甘く太く艷やかな歌声が披露される。響きの芯がしっかりしているために、破綻がない。

最後にクライマックスへとサビの繰り返しになる部分では、力強い歌声が奏でられる。

しかし、その歌い方は、韓国の歌手にありがちな絶唱型ではなく、きちんとバランスのとれた響きで、破綻しないように制御された歌い方だ。

絶唱してしまうことは簡単だが、それは、一方の見方からすれば、歌手の自己満足に過ぎないことが多々ある。即ち、歌手の高揚感に聴衆が置いてけぼりを食ってしまうことがよくあるのだ。

彼の歌い方には、それが全くない。

きっとバランスのとれた考え方をする歌手なのだろう。

そんなことを彼の歌を聴きながら感じた。