今回は何を引き換えにしたのだろう。

事務所のやり方は実に巧妙だ。
ジェジュンが寝る時間を削ってまで作ったアルバムの広報は、「入隊中に前代未聞」という見出しと共に「一人でJYJを代表して頑張るジュンスの援護射撃の為。入隊中の特別待遇」と言われ、「え、ジェジュン、ホントに入隊してる?と思えるように準備した」と本人が言うほど、特別に用意したホログラムコンサートは、珍しくひと月以上前の告知であるにも関わらず、祝日前のド平日だ。

アルバムの広報もしたし、コンサートの告知もした、と言いたいのだろう。

祝日前のド平日に仕事を休める人は少ない。
都内で19時開演に間に合うのは、都内在住か都内で勤務している人だ。
仕事を持つ地方組は、仕事を休んで駆けつけるしかない。
祝日前に連休を取って、会場に駆けつけれる地方組は限られている。
現に私の知人も参加出来ない。関東にいながら、仕事を終えては間に合わないのだ。

広報もしたし、告知もした。
入隊中にアルバムの発売もしたし、ホログラムコンサートの開催もした。
でも売上げは伸びないし、コンサートも空席が目立った。
やはり、日本では、ファンは離れていってるのだ。歌手としても日本ではダメなのだ。
だから、韓国でやるしかない。韓国で俳優として除隊後は、活動するのがいい、とでも言い含めるのだろうか。
とにかく、アルバムの発売もコンサートも開催したのだ、という事実だけが欲しいのだろう。

ひと月以上も前に告知しておきながら、わざとファンが来にくい日程を設定する意味がわからない。
彼の誕生日を外すのなら、あとは、いつやっても同じだ。
恒例だったバースデーコンの日程を誰かのために外したのなら、あとは、いつ行なっても、彼にとってもファンにとっても意味は同じだ。
それをわざわざ、ファンの出向きにくい日程に設定する意味を教えて欲しい。

ファンが集まりにくい状況を巧妙に作り出しているとしか思えない。

彼が入隊直前に来日したドラマファンミは、人が集まらないように、韓国でのラストコンを先に告知し、誰かのソロコンと被らせた。
その為に、夜の部では、空席があった。
入隊前の最後の来日の彼の目に、その空席を焼き付けることが目的だったのか。

今度は、入隊中の彼に、空席の目立つ画像でもマネージャーに携えさせて、見せるつもりか。

「ほら、頑張って開催したけど、こんなに空席が目立った。やっぱり兵役の二年間は大きい。日本ではファン離れが進んでいる」とでも伝えさせるのか。

入隊中の本人がいないコンサートが会場満杯になり、実際に本人が出るコンサートが満杯にならない。
これでは困るだろう。
本人が歌うコンサートが、虚像のコンサートに負けることは出来ない。
空席が目立った、という事実が欲しいのか。

2013年、彼は完全にマインドコントロールされていた。何を? 日本の情報も状況についても。
彼の周囲にいた人間を見ればわかる。完全に彼の日本市場を封じ込める為に動いていた。

横浜アリーナと横浜スタジアムでは、同じコンサートでも大きく色合いが異なる。
前者に事務所は殆ど噛んでいないが、後者は事務所主導で行われている。

彼は日本で歌いたかったのだ。
どうしても単独で日本でコンサートしたかった。
どんなに情報を操作され、日本ではダメだと信じ込まされていても、日本で歌いたかった。日本のファンに会いたかった。会って、自分の目で確かめたかったのかもしれない。
その為に、彼は何を犠牲にしたのだろうか、といつも思う。
何も差し出さないで、彼に日本で歌う場所を与えてくれるような事務所ではないだろう。必ず、何かを交換条件にしたはずだ。

横浜スタジアムの彼のMCは、如何に彼が周囲にマインドコントロールされているかわかる。
日本語で作られたオリジナルなのに、日本で日本語で歌えないと言われ、あくまでも韓国の歌手として来日公演した形にさせられた。
いつか日本でライブが出来ない日が来るかもしれない、と信じ込まされている。
アリーナのあと、日本からいくつものオファーがあったにも関わらず、一切オファーがなかったと信じ込まされ、日本の自分のファンがだんだん少なくなるだろうと思わされ、日本を諦めるように、説得されていたのかもしれない。
日本でコンサートを開くたびに、彼は号泣した。
その号泣の意味は、次、いつ、日本に来れるかわからないという不安の裏返しだったかもしれない。二度と日本に来ることはできないかもしれない。その不安感と彼は闘い続けて来たのかもしれない。

事務所を使わなければ、コンサートもアルバムの発売も出来ない。
しかし、事務所を使えば、情報を操作され、疎外感のある状況も嫌がらせも受ける。事務所を使うことは彼にとって、諸刃の剣だったかもしれない。
その事務所が、彼に嘘の情報を与え、日本市場を奪うことなど、簡単な事だったかもしれない。
唯一の誤算は、彼の日本語力だったのか。

コンサート会場で直接、流暢な日本語でのファンとのやり取りについていけた関係者は少なかっただろう。あの頃、ずっと彼にへばりついていた人物は、日本のファン社会において、とんでもない食わせものだった。その人物がずっと彼の側にいることが、不安で仕方なかった。
なぜなら、その人物が間違いなく彼に誤った日本の状況を伝えているだろうと思えたからだ。
その人物は、4月のJYJコンサートの時から、彼らにへばりついていた。突然、久しぶりの表舞台への登場だった。そしてアリーナでも彼に影のようにへばりつく。
その影が気になって仕方なかった。

しかし、彼はその後の大阪と名古屋で全く別の姿を見せた。
彼の中に明らかに事実を認識した変化が見て取れた。
それは、自分の言葉でファンに話しかけ、自分の心中を吐露し、ファンに一層近づく事で、彼自信が肌で感じ取った感覚なのかもしれない。
とにかく、彼の日本語力は大きな誤算だっただろう。

そして、彼は、その人物から離れた。
その後の来日に、その人物の影はなくなった。それと同時に彼は強くなった。今まで事務所に主導されていた力関係が逆転した。
事務所を利用するようになった。必要な時には、最低限の権利を与えて、事務所を利用する。しかし、決して全面的主導権を渡さなくなった。
日本語力をさらに磨き、日本での単独インタビューも、ドラマ広報という形を利用して実現させた。そこで語る彼の言葉には、日本への揺るぎない気持ちが現れている。
完全にマインドコントロールから解き放たれた彼の姿を見ることができる。

彼がこの映像を準備している事をドラマファンミで話した時、私はどこか遠い話のように感じていた。また、JYJファンミででも公開するのに利用されるのかと思っていた。
まさか、彼が日本のファンの為に本格的なホログラムコンサートを用意してくれていたとは思わなかった。
彼は、これを実現するために何を事務所に差し出したのだろう。

何を差し出してでも、彼が実現したかったコンサートに空席は作らない。

一度、犯罪を犯した人間は、次はもっと狡猾に行う。
巧妙に仕掛けた罠に獲物がかかるのを待っている。

これからが彼とファンの正念場だ。

彼を虐げ、その状況を見せる事で、ファンを疲弊させる。
彼が除隊した頃には、疲弊しきったファンが彼の日本活動を諦めるように仕向ける。
もちろん、彼には、巧妙な罠がいくつも用意されているかもしれない。
これは、その始まりに過ぎないかもしれないのだ。

彼がいなくても、彼の心を受け取れる場所にファンは集う。
彼が準備したコンサートは、彼の日本への思いで溢れているはずだ。

韓国の軍隊にいる彼が、遠く離れた日本にいるファンが寂しくならないように準備してくれたもの。

その心を私は、受け止めに行く。

空席は作らない。
ジェジュンペンは、きっと会場を埋め尽くす。
主がいない場所を、守り続ける為に。