★ドリフェスを振り返って

今回のドリフェスレビューの中にも何度か書いていることがある。

それは、彼の今回の歌声についてだ。

多くのレビューを読んだ。

それは、プロのライターが書いたものから、ファンの書いたものまで。

そのどれもが、彼の力強い伸びのある歌声を褒めていた。

しかし、私は、決してそうは思わない。

確かに彼の歌声は、非常に力強く、太かった。

だが、彼本来の伸びと響きは、少し欠いていたと思う。

彼の第一声

「One Kiss…」を聴いた時、私は、彼が、前日、凄く歌ったんだな、とすぐわかった。

前日には、今回のバンドとリハーサルを一日行なっていた。

それまでの練習の不足を、取り戻すかのように、何度も何度も納得の行くまで音あわせをし、歌い込んだに違いない、と思った。

そして、思った。

「この響きで、最後までもつのか……」と。

おそらく彼自身も、いつもより、声帯の伸びもくっつきも悪いと感じていたに違いない。

さらに彼は非常に緊張していた。

その緊張は、表情のこわばりに出ていた。

緊張は、顎関節を固くし、筋肉の動きを固くする。

さらに、支えが上にあがっていた。

この支えが上にあがる、という状態は、彼が2015年3月30日、入隊直前に行なった「The Bigining of The End」のコンサートの最終曲の前にも起きている。

DVDを持っている人なら、わかると思うが、彼は「息が入らない」と言って、何度も何度も跳躍を行なっている。

あれは、緊張の余り、息を支える横隔膜が上にあがってしまい、息が十分に下腹部まで入らない状態になってしまったのだ。

横隔膜が上にあがってしまえば、歌声を支えることが出来ない。

その為に、彼は、何度も跳躍をして、横隔膜を下げようと試みている。

緊張すると、ため息をつくことが多くなるが、それは、横隔膜が緊張によって自由に動かなくなり、息苦しさを感じる為、無意識のうちにため息をついて、息を吐き出し、空っぽにして新しい空気を奥深くまで入れようとするからだ。

彼は、化粧を歌い終わったあと、小さなため息をついた。

それを見たとき、私は、やっと彼が少し緊張が解けたのだと感じたのだった。

緊張の余り、ブレスが深く入らない状況の中で、彼は、力で押す歌い方になった。

彼にしては、非常に珍しい。

力で押すと、声帯は、接触部分が太くなる。

その為に、伸びを欠き、太い声になる。

伸びが悪いのは、彼自身が一番感じる。

反応が遅れるからだ。

そうなると歌手は高音が不安になる。

不安になるのは、声がひっくり返るかもしれない、響きが抜けてしまうかもしれない、という恐怖だ。

その恐怖に打ち勝つ為にさらに力を入れた押した歌い方になる。

本当は、力を抜いて響きを鼻に入れるようにすれば、伸びが戻るのだが、その為には、腹筋をしっかり使わなければならず、もしかしたらうまくいかないかもしれない、という不安感は拭えない。

その為に、力で押した方が安心感が持てる。

彼のこの日の前半の歌声は、どちらかと言えば、喉声に近かった。

そして、ハスキーさが増していた。

だから、私は心配だったのだ。

でも、彼は、後半で喉の状態がよくなった。

ブレスもよく入るようになり、最後の「守ってあげる」では、いつもの伸びと響きが戻っていた。

こういう例は、今回に限ったことではなく、2013年11月の横浜スタジアムの最終日にも同様の状態が起きている。

その日の彼のコンディションの悪さは、鼻風邪だった。

鼻の通りが悪いと、彼のようにブレスを鼻腔に当てて歌うタイプは、苦労する。

鼻腔に響きが当たらないからだ。

しかし、この日も、彼は、一汗かいたあと、非常に良くなった。

汗をかくことによって、身体が温まり、血液循環が良くなるからだ。

声帯の血液循環も良くなり、伸縮が良くなる。

ドリフェスも「Good Mornig Night」のあと、俄然、声の状態がよくなった。

一汗かいて、血液循環がよくなったからだろう。

そしてほぐれた身体は、横隔膜の緊張もなくなった。

そうやって、彼は、普段の声を取り戻したのだと思う。

今回のドリフェスは、完全に彼の過去の姿を払拭したと思う。

ソロ歌手として、確かな一歩を踏み出した。

彼は、長く歌っていない期間があった。

その為、声帯が疲弊していない。

5人時代の過酷なスケジュールの中でも、彼の発声は、掠れることなく、十分に耐えた。

その疲れはすっかり取れて、綺麗な状態の声帯がある。

彼の歌声が、31になるのに若いのは、歌ってきていないからだ。

歌わない期間、歌手生命の寿命が伸びている。

彼は、これから、綺麗な響きのJPOPを数多く歌うだろう。

彼の歌声がJPOPに似合うのは、当たり前のことだ。

JPOPに似合う声に作り替えたのだから。

彼ほど、JPOPの似合う歌手はいない。

多くの日本人が、何の説明もなく歌声だけ聴けば、彼のことを韓国人だと思わないかもしれない。

それぐらい、彼の歌声は、日本人の琴線に合っている。

来年は、彼の歌声をシャワーのように浴びたい。

そう思った。

 

 

 

ここ2日程、いろいろ書きたいことはあったけど、すべては、ドリフェスの出演が決まったことが始まりで、それは、結局、KAVEの存在がすべてだったと思っている。

だから、きちんと総括しておきたかった。

ドリフェスに彼が出演できたのは、シアのおかげ、シアが義務警察で職務を果たしているから、強力な後ろ盾を韓国に持ったから、という話を見聞きした。

JYJの文字を彼が消したこと。それに関しての中傷も始まっている。

そういうことに関しては、次の記事で。

とにかく誰にも文句言わせない。

ドリフェスは彼が一人の力でもぎ取り、自分で日本に帰る場所を作った。

それは紛れもない事実で、彼が一旦、決めたら、それは覆らない。

彼は一人で帰ってくる。

一日も早く日本に帰っておいで。

たくさんの人が待っているから……。