ホロコンで彼がMCで話したことにより、アルバムの発売は1月26日、ホログラムコンサートは2月4日だったのだろうと多くのファンが認知することになった。
彼の予定していた通りにならなかったことが発覚したのは、事務所にとって誤算だっただろうか。おそらく日本語の出来ない事務所スタッフは、彼が何をMCで話したのか、理解出来なかっただろう。そして、自分が入隊前、MCで何を話したかを覚えている彼は、当初の予定通りの日程でアルバムの発売もコンサートも行われないと事務所から告げられたとき、表情が凍りついたのかもしれない。
「絶対にファンに嘘を言わない」
それこそが彼がファンに対して貫き通してきた一つのスタンスだったに違いないからだ。
どんなに言えないことがあっても、彼はファンに心配をかけまいと必死に自分を貫き通してきた。どんな時でも心にもないことは決して言わなかった。言えないことだらけの中で、言えない時には言葉を濁した。それが彼のファンに対して誠実でありたいというスタンスだったと思うからである。
アルバム発売に関して、多くの理不尽とも言うべき状況が作り出された。
音源公開とアルバム発売日を別にすること。
当初の事務所の発表では、普通に行われることが彼の場合だけは行われないという異常な事態になった。これに対し、韓国ファンサイトの呼びかけで、事務所にお願いのメールを出そうという動きが広がった。それは韓国ファンだけでなく日本ファンにも呼びかけられた。そして、その行動の延長線として、韓国や日本のメディアに彼の理不尽かつ、不公平な事務所の扱いを知らせようという動きがあると教えられた。
その話を聞いて、私は過去のある出来事を思い出したのだった。
それは、2012年の春。サセン騒動が起こり、彼が体調を崩して入院した後の話だ。
一週間、SNSの世界からプツンと消えた彼が、抜けるような金髪とやせ細った身体で戻ってきた時、彼が生きているだけでいいと心から思った。満身創痍で戻って来た彼は、ドラマ「Dr.JIN」の主役の一人が決まっていた。主演俳優が次々と確定する中で、その頃、私に一通のDMが韓国のファンサイトスタッフから送られてきた。そこには、ジェジュンは主演だと発表されたにも関わらず、他の3人の俳優の自己主張によって、主役の扱いから脇役の扱いに変わろうとしている。今、韓国のファンは、「ジェジュンの扱いを正しくしなさい」というお願いのメッセージをTV局に送っている。日本でジェジュンが多くのファンを持っていることを知らせる為にも、日本からも同様のメッセージを韓国のTV局に大量に送ることが、ジェジュンの力になるから協力して欲しい、という内容だった。その抗議文の雛形も日本語で示されていた。それで私は多くのジェジュンファンに呼びかけて、日本から韓国のTV局宛にFaxを送ることに協力をしてもらったのだ。その時、聞かされた内容は、主にイ・ボムス氏の批判が主流だった。如何に彼が他人の手柄も自分の手柄にしてしまう人間なのか、ことごとく説明してあった。自分が出るドラマは、いつのまにか自分を主役にしてしまう。自分を中心に扱うようにTV局や制作会社に圧力をかける俳優というものだった。また、同じようにソン・スンホン氏やパク・ミニョン氏の批判も同様のものだった。
私はそれを信じた。その頃、韓国人の気質も知らなかったし、韓国芸能界の何も知らなかった。韓流ドラマに全く興味のなかった私は、スンホン氏やボムス氏が一体どのようなレベルの俳優なのかを想像すら出来なかった。ただ、韓国のファンから教えられた情報をそのまま鵜呑みにした。そして、ジェジュンを主役の一人として正当に扱って欲しいとするお願いの文章を書いて、当時、コンビニから国際Faxを何通も送ったことを覚えている。
ジェジュン以外は、皆、何度もドラマの主役を経験した俳優ばかりで、ジェジュンだけがアイドル出身、ドラマも二作目という経験値の少ない状況だった。
そうやってメールを送った結果が、どうなったか知らない。ただ、脚本家がジェジュンのことを気に入り、脚本を書く中で、最後まで彼の役柄の比重も出番も多かったことは確かだった。このドラマも「ボス」と同様、事務所は殆ど関与していなかった。ただ、ファンミを行なっただけである。ユチョンのドラマのように出資することもなく、この仕事も彼が事務所に殆ど利益供与をしない形で受けた仕事だと思えた。
このとき聞かされた情報を信じた私には、ボムス氏の印象が酷く悪いものになった。
即ち、自己中心的で、自分が主役でなければ気が済まない。自分が中心になるようにいつも制作側に圧力をかける俳優。そんな印象を持たされたのだった。
そして、すっかり忘れていた。そんなメッセージを送ったことを。ただ、ボムス氏の印象だけは余りいいものではなかった。だから、トライアングルで彼と共演すると聞いた時も、また、ジェジュンは主役の扱いをされないのではないだろうかと危惧したりした。
しかし、トライアングルでは彼は歴然たる主役だった。何の不当な扱いもなく、ドラマの初主演を果たした。
そしてトライアングルで共演したボムス氏が、とてもジェジュンを可愛がっているということを聞かされた。初め、トライアングルの話は、ボムス氏に来たものを、ジェジュンの演技力を買っていたボムス氏が彼を推薦したという話も聞かされた。これが本当かどうか知らない。けれどもジェジュンのあげるツイなどから、とても和気あいあいとした関係を築いているのが想像出来た。そして、入隊直前のファンミでのボムス氏は、以前、教えられた印象とは全く違うパーソナリティーを私達に見せた。自己主張の激しい韓国の当たり前の習慣の中で、終始、ジェジュンを前面に立て、入隊前の彼と私達ファンに気遣いを見せた。とても彼を可愛がっている様子が見て取れ、彼もボムス氏を慕っている様子が感じ取れた。実際に見たボムス氏の印象は、全く違うものだったのだ。
今回のファンの動き、日本メディアにまで、彼の不遇を知らせようとする呼び掛けを知って、私はこれらのことを思い出したのだった。
ファンのお願いメールが行った結果は、音源公開日とアルバム発売が同時になった。けれどもそれは決してファンの望む日程ではなかった。そして、絶対量の不足。
日本でも同時に発売をお願いしたが、それは叶えられず、バラバラの予約発売になっている。
アルバムの発売に関しても、ホロコンの開催日にしても、明らかに事務所の嫌がらせともいうべき状態は続いている。
けれども何度も書くように、これらのことは、彼がCjesに入った時からずっと続いていることであって、何も変わらない。むしろ酷くなる状況にある。
6年前、彼が初めて自分で手がけた写真集INTERMODULATIONの扱いは酷かった。
当時からファンの人は記憶にあるだろう。事務所は全く広報もせず、韓流ショップを通して売られたのみで、韓国では最終的に路面店で叩き売られるような状況になった。
その時、何かおかしいと感じたファンはいたはずだ。写真集のプロデュースと発売は、彼がSMという檻から出て、自由に自分の仕事を自分の意思で選び、実行した証のように感じた。彼自身が望む仕事をすることが出来るのだ、と思えた。しかし冷静に考えてみれば、その後もおかしなことだらけだった。
JYJ初のアジアツアーでは、チケットのトラブルが起きた。現地プロモーターの詐欺とも言えるトラブルが起きた時、Cjesは、事務所の非を認めず、「JYJのことは全てジェジュンがやっているから」と言い、自分達はあくまでも依頼され、仕事をしているマネージメント会社だという立場を崩さなかった。
それ以降、事務所は、どんな不都合も全てジェジュンのせいにした。決して自分が悪いということを認めず、謝罪もしない。そういうずるい事務所のあり方を見せつけられた。そんな中でも、彼は数少ない与えられた仕事を淡々とこなしていた。それを見ながら、彼がどんなに酷い状況の中でも、どんなに汚い事務所の中でも、自分だけはまっすぐに誠実に生きていこうとする姿勢が感じられて、ファンとして堪らない気持ちになったのを覚えている。あの頃、心配で、心配で、何か起きる度に寝ることさえ出来なかった。
そうやって、彼は、彼のあり方とは全く違うスタンスの事務所の中で、一人、自分のスタンスを貫き通そうとしているように思えた。
最初、JYJの活動にこだわる彼に対する嫌がらせかと思えた仕打ちは、やがて、それが日本に対する考え方への仕打ちなのだと感じるようになった。
両国の国技館に戻ってきた時、あれほど笑顔を見せた彼は、ひたちなかでは別人になっていた。あの時、ひたちなかのコンサートは直前まで開催出来るかどうかわからなかったことを何人のファンが知っているだろう。もう何年も経った今なら書いても構わないのかもしれないが、当時、コンサートの関係者を直接知ったことから、開催出来ないかもしれない原因が、実はエイベックスの妨害ではなく、Cjes側の許可が最後まで出なかったことに起因するということを知らされていた。コンサートを開催する直接の関係者は、当時も今も有名な人間だ。そして、その情報を彼に問いただした時、彼は、「どうして知ってるのか?○○氏が漏らしたのか?それとも○○氏なのか?」とまでメールしてきた。彼は、何度も最終打ち合わせにソウルへ飛び、ジェジュンと共にP氏を説得した。その事実は私とのやり取りの中に残っている。だから、本当に開催出来るかどうか、直前まで心配した。
コンサートが終わって、翌日、茨城県庁へお礼を言いにいきたいと言ったジェジュンに「そんなことは必要ない」と言ったのもP氏だと聞かされた。
その時、Cjesが日本活動する気持ちもなければ、日本事務所と契約する気持ちもないのだということを私はハッキリ感じた。そして、Pという人間の日本に対する考え方も。
だから、Pが日本ファンへ向けて「日本活動ができるように頑張りたい」というメッセージを出した時も冷ややかな印象しか持たなかった。
そうやって、日本を市場としか捉えない、日本ファンを自分達の配下に置き、統率し、資金調達の為だけに利用すればいい、というあからさまな反日主義と事大主義の考え方の事務所の中で、ジェジュンは、自分の考えを貫き通そうとした6年だったように思える。
彼の不遇な扱いも、パワハラとも言える嫌がらせも今に始まったことではなく、最初から行われてきたのだった。
ただ、それをジェジュン自身が、ファンに知られないように、カモフラージュしてきたに過ぎない。
その不遇な状況を今、彼が入隊して、不在の時に、韓国はいざしらず、日本のメディアにまで知らせるというのは、どういうことだろうかと感じた。
日本では、彼が歌を続けていることすら知らない人は多い。ドラマに出演しているのを見て、「ジェジュンって、俳優になったの?」と聞かれたりもする。
日本のメディアは、さすがに彼が歌っていることも知っているだろう。けれども、彼は東方神起を出ていった側の人間であり、AERAのインタビューに彼が答えている通り、「新天地で自由を手に入れた」という認識しか持っていないかもしれない。
その彼が、SMの奴隷契約が酷くて事務所を訴え、東方神起を出ていきました。事務所も出ていきました。それで新しい事務所に入りました。でもその事務所は反日が酷く、彼は不当な扱いを受けて、余りにも酷い状況なのです、と聞かされたら同情するだろうか。
多くの人間は、「勝手に出ていった彼は自業自得だろ。あれほど、エイベックスが、ヤクザだと言って説得したのを振り切って出ていったのに、不当な扱いを受けていても仕方がないだろう。だったら、やっぱりエイベックスの言うことは正しかったのか」という風に思われるのではないだろうか。さらに、それに対し、あちこちのメディアにメールを送り付けるファンダムを抱えた彼に対し、いい印象を持つとは思えない。
実際に彼が除隊し、仮に日本事務所と契約するということになったとき、それがマイナスの印象にならないのだろうかと懸念する。
Dr.JINの時の行動も含めて、自分のファンがそのような行動を取ることを知ったら、彼はどう思うのだろうか。感謝するだろうか。
彼はずーっと一人で戦ってきたのだ。ずーっと一人でその状況を呑んだ上で自分を見失わないで仕事をしてきた。その間も、彼の日本に対する気持ちもスタンスも変わることはなかったと思う。
今、多くのことがやっぱり事実だったのだと明らかになり、堪らない気持ちになるファンは多い。何か自分に出来ることはないだろうか、ファンとして何か彼の力になることは出来ないだろうかと思うファンは多いと思う。
けれどもファンはファンであって、彼の人生に何の影響も与えることは出来ない。
事務所とのことは、彼自身が彼の手によって解決しなければならないことであって、ファンが踏み込む領域ではないと考える。
韓国のいろいろなジャンルの時事問題を扱う「아궁이」という韓国芸能番組で芸能人と事務所の間で起こる芸能界の闇の部分を扱った。そこでP氏の事件が断然韓国の芸能界でも一番恐ろしい事件だと認識されていると話されたということを聞かされた。そういう事務所に彼がいることが何を示すのか、よく考えなければならないと思う。
日本の芸能界でも全てがクリーンだとは言わない。しかし、韓国は日本の非ではない。そしてその韓国の芸能事務所の中でも最も危険ともいうべき場所に彼がいるということをもっと、現実として捉えるべきではないのかと思う。
よく除隊すれば、ジェジュン次第。という話を聞く。彼が決心さえすれば、事務所を出ることが可能だろう。彼にファンの気持ちを届けることが大事だ。JYJの活動ではなく、ファンはソロの活動を願っている。事務所を出て、日本事務所と正式に契約して欲しい。彼さえ、決断すればいいと。
また、こんな事務所に入ったことを後悔しなくてもいい。ただ失敗を認めて前にすすめばいいと言う人もいる。
冗談じゃない。彼も最初「よくない噂のある人だから警戒した」と言っている。けれども若干24歳で、事務所を放り出された彼に、他の選択肢があっただろうか。今の事務所に入らない限り、芸能界で生きていく場所はなかったのだ。それが失敗なのか。
入る、入らない、の選択肢はなく、入る選択肢しか、始めから彼の前には用意されていなかった。
そして、その場所で生きていくことしか、芸能人として生きていくことは出来なかったのだ。
それと同じように、「出ない」のではなく、「出れない」のだ。
「出れない」という状況を彼が決断さえすればいいと考えるのか。
ずーっと彼に対して、何が行われてきているのか、それは、クォン・サンウの事件がどのようなものだったのかを考えれば、自ずと見えてくる。ずーっと彼は何をされてきたのか。そして、今、軍隊で彼はなぜにあれほど、太り、あれほど安心した顔を見せるのか。その事一つを考えてみても、想像出来るはずだ。彼に対して行われてきたことが。そして、その場所に、彼は間違いなく10ヶ月後に戻る。
ファンの前に戻るということは、そういう環境の中に戻ってくるということだ。
その状況は、除隊後も変わらない。どんなにファンが騒ぎ、アルバムが売れても、その状況が変わるとは思えない。
一度犯罪を犯した人間は、次にやるときは、もっと巧妙になるだろう。ましてや、社会的に地位を持ち、大きな事務所として、確実に存在を示している。
そうなれば、もっと巧妙になるはずだ。
彼が生きているだけでいい。
彼がこの6年。何もなく生きてきたことだけでいい。
これから先も、無事に生き続けて欲しい。
彼がどんな場所を選択し、どんな生き方をしていくのか。それは彼が選択するものであって、彼が自分の命を守るために最善の方法を取ることだけを願っている。
それをただ、私は見守るだけだ。
こんな記事を書けば、また、批判が来るのだろう。
「大げさだ」「そこまで書かなくても」「不安に思わせるだけ」
そう思うなら、それらを経験したヨンハ氏のファンに聞いてみればいい。彼女達は、韓国芸能界の闇を体験したのだから。
私は彼に生きていて欲しい。
本当に無事に生き延びて欲しい。
それだけが私の今の願いであって、それ以上何もない。
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