深夜に作った記事なので書き足りていない部分があります。記事の後半に追記文章を挿入しました。
彼が、新規事業をいくつも手がけていることに関して、「金の亡者」という批判があると知った。
果たして事業を展開することは、金の亡者に繋がるのだろうか。
SMを出るとき、化粧品会社との契約が引き金になったと言われる。
この問題は複雑で非常にデリケートだ。
SMを出ることになった真実の理由が何なのか、彼自身が語らないのだから、想像の域を超えることは出来ない。
SMの契約は酷いものだった。それは周知の事実だ。
日本での活動で、労働に見合った報酬というものを知った彼にとって、SMでの契約はどう見えたのだろう。
韓国では、出世頭が一族の経済を支えるのが当たり前という考え方がある。
ましてや、彼はキム家の長男だ。
キム家を継がせるために両親は、彼を養子にした。
男の子を育てるのは、将来自分達を見てもらうためだ、と公言する。
跡取りに親の面倒を見てもらうことは、ごく当たり前の韓国なのだ。
彼の肩には、両親以外にも何人もの生活がかかっているのかもしれない。
彼は、SMを出たとき、自分が将来、こんなに事業を展開するような人間になると予想しただろうか。
SMを出て、日本活動が打ち切られた後の1年は、ただ、歌いたい。歌手として生きたい、と歌える場所を世界中に探し回っていた。
歌える場所なら、どんなところでも行って歌った。
そのうち、歌う場所はなくなった。
それぞれが、ソロ活動を優先し、彼は、歌いたくても歌うことが出来なくなったのだ。
音楽をしたい、どんな形でも音楽に触れていたい、そういう願望が、彼にフィギュアスケートの選手の振り付けをさせたり、ステージのプロデュースをさせたりした。
そうしながらも、やがてそんな仕事もなくなり、彼は俳優業に転じた。
彼は、音楽で稼ぐことが出来ない環境に置かれた。俳優業の収入がどれぐらいなのか、私は知らない。
けれども彼には、常に経済的な不安がつきまとったかもしれない。
12歳の時に「自分の食いぶちぐらい、自分で稼いで来い」と言われ、15歳で家を出た。
アルバイトをしながら、SMの研究生としての授業料を自分で払い、自活していた。
5万ウォンの家賃が払えなくて、路頭で雪の中、飴やチョコを売り、見かねた通りがかりの人が飴やチョコを5万ウォンで買い取ってくれて、家賃が払えた話は余りにも有名だ。経験したことがないアルバイトはない、というほど、彼はありとあらゆるアルバイトをした。土方から、映画のエキストラまで多種多様なことをして、彼は、自活し、東方神起のメンバーのポジションを手に入れたのだ。
どん底を舐めている彼には、お金がなくなることは怖くないだろう。
どんなことをしても食べてきた経験のある人間は、心底強いからだ。
しかし、兵役を控える身で、高齢の両親のことを考えればそうはいかないのかもしれない。
自分はよくても、自分の肩にかかる人は守らなければならないだろう。
どんなに音楽の仕事をしたくても、出来なかった彼は、いろいろなものをプロデュースする能力に長けていた。コーヒーショップも鉄板焼きも鞄のデザインも、音楽の世界で順調に歌手として仕事していたら、足を踏み入れることはなかったかもしれない。
しかし、彼には、音楽に没頭したくても出来ない状況が横たわっていたように思う。
そんな時に他の事業を始めるきっかけがあったのかもしれない。
どんな物事にも彼は誠実に対応する。
真面目に仕事に取り組む。
彼が初めて出したミニアルバムには、隅々まで彼の気配りが感じられ、彼の隠された感性を知る始まりだった。
ただ単に金が欲しいだけなのなら、彼は商品に少しの手を加えるだけでいいのだ。
自分の小さな画像、いや、単なるサインであってもいい。そんなものでもファンはこぞって購入するだろう。
違法商品が堂々と売られ、購入される。そんな世界だ。多くのファンが彼のものに飢えている。
彼の顔がついているだけで多くのお金を惜しみなく払うファンがいるのだ。
そんな商品を作ればいい。
そして、事務所と同じように韓国と日本では二重価格を設定すればいいのだ。韓国のファンには、購入しやすく、日本では物価に見合ったものを頂く。
韓国の企業の常識のように。
Jholicには、彼のサインが入ったレシート入れがつく。
ファンが欲しくてたまらないものの一つだ。
Kim Jaejoongと印刷されたレシートを捨てずに大切に取っておくファンの気持ちにまるで寄り添うかのように配布される。レシートは、年月が経てば、劣化して文字が消えていく。しかし、この袋へ入れておけば、いつまでも残っているだろう。
MOLDIRのデザインは彼だ。
韓国で小さな、しかし昔から手作りのいい商品を手がけてきたMOLDIRにデザインを提供した。
素材、縫製の細部に至るまでチェックを入れるのは彼の仕事だ。
もし、金の亡者なら、ペーパーに適当にデザインを書いて、どこかに自分の名前を入れればいい。
それだけでどんな粗悪なものでもファンは買うだろう。
しかし、彼はそれをしなかった。MOLDIRの商品のどこにも彼の名前は入っていない。わずかにキーホルダーにJという文字が入るだけだ。
それも何も知らない人が見れば、何のJなのかもわからない。
Bum’sは、日本に進出してきた。
確かにここは、彼がオーナーだと全面に出し、当初は店のロゴの横には名前も書かれていた。
しかし、それはオープンと共に姿を消した。
今は、単にぼてじゅうビルの2階に店を構える鉄板焼きのお店でしかない。
金の亡者なら、自分の名前を出して、どんどん宣伝すればいい。
妨害などない。
日本で妨害されるのは、彼が音楽の世界で仕事するときだけだった。それも現事務所の説明にすぎない。そして、和解が成立した今、この日本の自由市場において、法律に抵触してまで妨害するバカはいない。
店には多くのファンが訪れ、MORDIRは多くのファンが購入する。
それが彼が金の亡者と呼ばれる所以なのか?
店のどこにも名前がなく、商品のどこにも彼の名前はない。
各店舗で売られているグッズも然りだ。
今は、多くのファンが購入し、多くのファンが訪れるだろう。
しかし、やがてその時期も終わる。
彼が兵役に行き、約二年ものあいだ、彼の消息はわからなくなる。
彼の店もMORDIRも彼のネームバリューを失ったままで市場に残される。
そんな時、それらの武器になるのは、品質だけだ。
ジェジュンという冠を失った商品や店舗は、そのものの価値で市場で勝負していかなければならない。
彼が細部にまで心を尽くし、目を行き届かせてこれらのものを作ったのは、もちろんファンのためだっただろう。
歌手として思うように活動が出来ない自分をずっと支え続けてくれるファンに何かお返しがしたい。多くのファンが、仲良く集える場所、自分を感じてもらえる商品。
そういうものファンの為に作り出したかったに違いない。
しかし、それと同時に、彼は、自分が手がけるもののどんな小さなものでも、自分という冠がなくても市場できちんと戦えるだけのツールを与えた。
ジェジュンとして、それらの応援をするのは新しいものが出るときだけ。
それ以外の時は、それらが単に商品としても多くのファン以外の人間に受け入れられるだけのコンセプトを与えたのだ。粗悪品が常套手段の韓国市場の中で、彼が求めるだけの水準をクリアーするためには、価格は、それなりの高さになる。
Jholicのグッズを包装する紙袋のひとつまで、そのコンセプトもクォリティーの高さも、韓国市場では珍しいものであり、まるで日本のショップで物を購入したかのような錯覚に陥る。
彼は、多くのものを日本から学んだと言っている。
彼の感性が、日本の「おもてなし」から学んだものは多かったに違いない。
店舗にいても商品を手に取っても、ファンは、彼のことを感じる。
彼が作る空間も商品もどれも不思議なくらい、彼の温かみを感じる。
その結果が、今のすべての事業の展開なのだと思うだけだ。
兵役を控えて、自分がいなくても金銭的に困らない状況を作り出さなくてはならない。
大きな事務所にいれば、その間もある程度の身分は保障されるだろうが、Cjesはそういう事務所ではない。
それに、事務所を通さない事業は、「JYJとして、収入を分け合う」などという訳のわからない収益配分ではなく、ファンとして落としたお金は確実に彼に入る。
その点で、事務所のものにお金を落とすより、ファンとして安心だ。
しかし、彼は、それらをファンの為だけに作ったのではなく、ファン以外の人にも手に取ってもらいたい、訪れて欲しいと願っているはずだ。
ファンでなくても、店舗も商品も一般の人に受け入れられるだけのコンセプトを与えたのだから。
やがて、商品や店舗が一人歩きして、ジェジュンがプロデュースしているものということを忘れて欲しいのかもしれない。
彼は、あくまでも歌手なのだから。
歌手ジェジュンの顔は、そこにはいらない。
そう思っているように私は感じる。
彼を「金の亡者」として呼ぶのは、彼が、明らかに歌手としての仕事を怠け、歌手としてのレベルも下がり、単なる経営者としての仕事を優先しているようになれば、そう呼べばいい。
アルバムを短期間で仕上げたのは、日頃から詩や曲のストックがあるからこその作業だったろうし、いつも彼の自覚の中には、歌手としての意識がなければ、あのようなクォリティーの高いアルバムを作ることは出来ない。
毎月のように日本へ来て、コンサートをし、中国や台湾へ飛び、ツアーを続ける。
体調が悪いといいながらも、精一杯のステージを披露する。
体調管理は、本来は、事務所の仕事だ。
無理なツアースケジュールを組む事務所に問題がある。
それでも彼は、歌う場所があれば、喜んでやって来て歌う。
名古屋を終えて、翌日ソウルへ帰り、夜はデザイナーとしての仕事をして、翌日からは歌手へ戻る。
そんなハードなスケジュールでも、コンサートが出来るなら、歌う場所があるなら、仕事を楽しんでいるように見える。
そんな彼を金の亡者と呼ぶのか。
人間は、生きていかなければならない。
創造の分野での仕事には、経済的安定が不可欠で、経済的不安がないほど、余裕を持って仕事することができるのは、作家しかり、音楽家しかり、芸術家しかりである。彼が、経済的基盤をしっかり作り、持つことによって、歌手ジェジュンは、さらにいい音楽を作り出すことになる。
その仕組みを彼は作っただけなのだ。