除隊イベントが次々発表され、ジェジュンが除隊後もしばらくCjesに留まることが濃厚となった。
入隊中、特に後半は、事務所と接触している気配がなかった為、突然のイベント発表は、ファンの気持ちを奈落に突き落とすのには十分の効果だっただろう。
この二年、いや、Cjesに入った時から、「除隊が事務所を出る一つのチャンス」と信じて彼を応援してきたファンは多かったと思う。
どんなに事務所に理不尽な扱いをされても、どんなに嫌がらせをされても、軍隊という韓国人としての義務を果たすまでは、どうにもならないと感じていたファンは多かったはずだ。
何の事情も知らない一般の人に話せば、いとも簡単に言う。
「だったら除隊後は日本に帰ってくればいいじゃない。日本の事務所と契約すればいい。韓国で歌えないなら、日本だったら歌えるでしょ」
誰もが簡単にシンプルに考える。
除隊後は、事務所を出ればいい。
その簡単でシンプルな事が、最も難しい。
6年前、彼がSMを出てJYJとして活動を始めた頃、彼は絶対にソロ歌手にはならないと言っていた。
彼の発言は、いつも彼個人の気持ちではなく、JYJのメンバーの一人としての気持ちしか語らなかった。
メンバー二人がソロ活動を始めても、彼は頑としてソロ活動をしなかった。その間、JYJの活動は順調ではなく、二人のメンバーのソロ活動の合間に活動を行うというような、二番煎じの活動でしかなかった。
あれほど日本で歌って来た彼が、全く歌わなくなった。
全く歌えなかった。歌う場所がなかった。
彼の声は、完全に市場から消され、いつも過去の動画の中にだけ存在するような歌手になっていた。
彼の歌声を求めて、ファンは5人時代の動画をくり返し見ることしか出来なかった。
特に、日本ファンは、韓国に帰ってしまった彼の気持ちが一体どこにあるのか、全くわからなかった。
なぜなら、彼は結果的に日本を捨てて韓国へ帰ってしまったのだから。
あれほどソロ活動が約束されていた日本を捨てて、韓国へ帰った形になってしまっていた。
彼の気持ちの真意がどこにあるか、全くわからなかった。
2011年、彼は初めてドラマの仕事を受けた。
多くの韓国アイドルが歌手活動の傍らに、ドラマ出演を当然のように行う。
日本では考えられない位、歌手と俳優との線引きが曖昧だ。それは韓流スターというキーワードのせいなのかもしれない。ドラマに出ている俳優が、ファンミで平然と歌を歌う。歌えない俳優などいないと言っていいほど、堂々と歌う。それと同じようにアイドル歌手がドラマの主役にいきなり起用されるなどということは、珍しいことでも何でもない。
そうやって、歌手業と俳優業の線引きは曖昧になり、垣根は低く、ファンは韓流スターという括りの中でのファン生活になる。
ジェジュンは、日本では列記とした歌手だった。歌手以外の何者でもなかった。
彼のファンは、彼の歌声のファンが圧倒的に多い。恵まれた容姿から入るファンであっても、彼の歌声に堕ちるファンは多いのだ。
そんな彼が、Cjesに移って入隊までの五年足らずの間にまともに歌手活動したのは、たったの一年しかない。2013年だけが唯一、歌手ジェジュンに出会えた年だった。
その間、フルアルバムはたったの一枚。ミニアルバムが一枚だけだ。それに比べて俳優としてドラマに出演したのは、4作。その上、映画の主演作も1作ある。
この量を比較しても、如何に、ジェジュンという歌手が韓国では歌わせて貰えなかったかがハッキリわかる。
これらの作品を客観的に見たら、一般の人は、彼を俳優だと思うだろう。
俳優が片手間にアルバムを出したのだと思う。
それほど、彼の歌手としての扱いは酷かった。
それは、彼が選んだのではない。巧妙に事務所が仕掛けた結果だ。
Cjesのペク氏が、「ジェジュンとユチョンは俳優に」と言ったのは、有名な話だ。最初から、歌手として活動させるつもりだったのは、ジュンスだけだという話になる。それは、堂々とJYJマガジンに記載されている事実だから、否定できないだろう。
あれほど、日本で歌って来た歌手に対して、最初から「俳優がいいと思う」根拠は何なのか……
過去に俳優のマネージャーとして培ってきた経験からか。
日本での活躍は、韓国では帳消しにするということなのか。
除隊イベントを見てもわかるとおり、Cjesは徹底した韓国偏重主義だ。日本のファンには高額のツアーを平気で提供しておきながら、韓国のファンには無料でイベントを解放する。
ジェジュンに会いたいなら、日本ファンは高いお金を払って、韓国までやってこい、というスタンスだ。
これは、JYJファンミの時の日本ファンと韓国ファンの扱いの差にも如実に現れる。
無料イベントと国内で大々的に宣伝するJYJファンミは、確かに韓国ファンに対してのみ無料で提供される。しかし、日本ファンは、高額ツアー参加者以外、参加することは出来ない。完全な抱き合わせ商法である。
日本でブレイクし、日本でポジションを確立したジェジュンという歌手を韓国では一切認めない。
あくまでも韓国人としてのポジションを彼に思い知らせることが、目的なのか。
韓国スタイルを嫌うジェジュンのあり方は、韓国では異端だ。
そのスタンスを崩さない彼への報復なのか。そして、そんな彼を支える日本ファンには、徹底した集金を行う。
日本のコンサートをHYSとしか組まないのは、韓国人歌手が稼ぐ収益は、あくまでも韓国人の手で回収するという同朋意識なのか。
日本の事務所と組み、日本市場で活動すれば、日本事務所に収益が落ちる。韓国人の稼いだお金なのに、日本人の手に渡るということが許せないのか。
そのスタンスの底流には、韓国人特有の事大主義しか見えない。
その上、Cjesのバックには確実に暴力団の存在がある。
エイベックスと揉めた唯一の原因が、それだった。
あの時、Cjesは、自分達は暴力団と一切関係がないように言い、エイベックスの言い分は事実無根のように言った。
しかし、ユチョンの事件において、ハッキリと暴力団が背後にいることが明確になった。
何かあれば、暴力団は、表に出てくる存在なのだ。堂々と、交渉の場に出てくるほど、事務所の中でその存在は、当たり前のような存在なのだということがわかる。
そんな事務所にジェジュンはいる。
そんな事務所の中で、彼は、自分のスタンスを貫き通してきた。
Cjesがスケジュールを握る限り、彼の仕事は、Cjesにコントロールされる。
即ち、勝手に事務所が決める。
その反対に、勝手にオファーを断る。
マネージメント契約というのは、一見、自由なようであって、自由ではない。
それは、歌手と事務所との方向性が完全に一致、歌手の意向を尊重してくれるスタンスの事務所においてのみ、初めて歌手の仕事の選択権が与えられる。
Cjesの行っているマネージメントは、マネージメントという名称だけであって、実態は所属会社に等しい。
仕事のオファーの選択権も決定権も、事務所が彼に話を通して初めて、与えられるものであって、話を通す気がなければ、事務所側の判断で勝手に操作される。
そのようにして潰された仕事が、今までどれぐらいあるか、考えれば、気が遠くなるほどだ。
そんな中で、彼は歌手としての仕事をして来た。
俳優としての仕事しか与えられない中で、歌手としての仕事は、すべて自分の意思で考え企画し、実行して来たに違いない。
なぜなら、Cjesが与えた仕事は、韓流スターとしてのファンミとドラマの仕事だけだったからだ。
Cjesというコンテンツを使わなければコンサートは実行できない。けれども、それは、彼からの発案であって、決してCjes側からの発案ではないだろう。
そうでなければ、「余り歌う場所がない」「余り歌えない」と彼が言うはずがない。
あれだけコンサート会場を満杯にし、アルバムを売り上げる歌手を、歌手活動させる気なら、いくらでもこの4年間に活動させれたはずだ。
しかし、彼の歌手活動は日本では僅かに二度あっただけだ。それも最初の横アリは、どう考えても彼の個人的な繋がりによる日本側主導の仕事である。
そんな事務所に彼は除隊後、帰る。
多くのファンが、彼の除隊イベントの公示を読んで凹み、Cjesに留まる彼に失望し、彼の気持ちがわからないと言い、疲れている。
疲弊感は半端なく、ファン離れも起きるだろう。
けれども、彼は、この6年、確実に前を向いて、進化してきたと思う。
決してソロ歌手にはならないと言っていた彼。
ひたちなかで初めて「ボスを守れ」を歌った時は、彼は自信無げに歌い、無事に歌い終わった途端、大きなため息をついた。
韓国で歌ってこなかった彼は、久しぶりに歌うことへの緊張を現わしていた。
それほど、彼は歌から遠ざかっていたのだ。
そんな彼が、今では、ソロ歌手としての活動に自分の言葉で意欲を話す。
アルバムを作り、自分の気持ちを音楽に込め、ファンに伝える。
左手親指に刻み込んだト音記号は、紛れもなく、彼の歌手として生きていく決意の現れのように見える。
自分は歌手なんだ、音楽人なんだ、俳優ではないんだ、という強烈なメッセージを小さなト音記号に込めたようにも見える。
そして、マイクを握れば必ず自分に見えるその場所に刻み込むことで、歌を歌う度に、自分が歌手であることの自覚を刻み込んでいくかのように思える。
私は、ずっと最初から彼のソロ歌手を希望してきた。
彼がJYJに拘り、ソロ歌手にならないと言っていたその時も、彼はきっとソロ歌手になると信じていた。
それと同じように、必ず彼は、日本に戻る。
どんなに時間がかかっても、どんなに困難であっても日本に戻ってくると信じている。
暴力団を後ろ盾に持つ事務所から抜けることは容易なことではない。
かつて、専属契約を迫り、服役した過去を持つ人間が社長なのだ。
独立を阻む為なら、どんなスキャンダルでも仕組んでくる。そういう過去を持つ人間を相手に彼は、一人で戦わなければならない。
彼が本気で日本に戻ろうとすればするほど、相手の妨害は酷くなるだろう。
歌手としての場所を奪うだけでなく、芸能人として抹殺することだって、いとも簡単にやってのけるかもしれない。
そんな場所にいる彼は、今まで何もなく無事に生きてこれただけで十分だ。
それでも彼は、自分に出来る限りのことをして、日本ファンに自分の気持ちを伝え続けている。
入隊中に、日本語のメッセージを堂々と残すような韓国芸能人が今までいただろうか。
自分の気持ちにあくまでも正直に生きようとする彼の強い意思を感じる。
彼はきっと戻ってくる。
「いつまでも待っていてください」と言い、「日本語でアルバムが出したい」と言い、「以前のような日本活動がしたい」と言った彼は、必ず、時間がかかっても戻ってくる。
私は、彼の進むべき道を一緒に前を向いて歩くだけだ。
彼が仮に日本を選ばず、韓国に残ったとしても、それは彼の人生の選択だ。
彼の人生は、彼にしか生きられない。
そして、彼は彼自身の為に自分の人生を生きるべきなのだ。
彼が韓国に残り、Cjesに残り続けたとしたら、それは、そうしなければ彼が生きていけないからだ。
そういう事務所にいて、自分の命を守りながら、歌手活動を続けていくのは、彼自身なのだ。
ファンである私は、側で見守るしかない。
それでも彼はきっと日本に戻ると信じている。
それは、彼がきっとソロ歌手になると思ったのと同じ。
単なる勘としか言いようがない。
それでもきっと彼は戻る。
それまでは、私はCjesのやり方にへこたれない。
へこたれて、彼の手を離したら、もう二度と彼は日本に戻らない。
彼が諦めたら、おしまい。
彼の日本への気持ち、彼の歌手活動への気持ちを信じて支えていく。
それしか、彼を日本に取り戻す方法はない。
彼の手を離したら、もうおしまいなのだ。
それこそが、Cjesの狙いなのだから。
私は絶対に諦めない。
追記
ジェジュンは、無事に何事もなく戻ってくる。
大きな怪我もなく、病気になることもなく、無事に戻ってくるのだ。
それが一番の喜びであって、Cjesのイベントも嫌がらせも想定内。
No.xのツアーまでは、Cjesの仕切りになる。
その後、彼の選択を支えていきたい、一人のファンとして。
彼が無事に何事もなく戻ってくるだけで、今は十分だ。